「世界は１２日戦争（ＴＨＥ　１２　ＤＡＹ　ＷＡＲ）」の公式的な終息を祝うだろう」。

トランプ米大統領が２３日（現地時間）、激しい武力衝突を見せたイスラエルとイランが全面的な停戦に合意したとし、ソーシャルメディアにこのように投稿した。超大型爆弾バンカーバスターＧＢＵ－５７を実戦で初めて使用するなど米軍の電撃的介入で緊張が急速に高まったイスラエル－イラン武力衝突が、トランプ大統領の「サプライズ」発表で１２日ぶりに収拾局面に入る流れだ。


２３日の電撃的な停戦宣言があるまで状況は１８０度違っていた。イランはこの日午後、カタールとイラクにある米軍基地に短距離・中距離弾道ミサイルを発射した。２１日に米空軍がＢ－２爆撃機から投下した１４発のバンカーバスターＧＢＵ－５７と海軍潜水艦から発射した約２２０発のトマホークミサイルでフォルドゥ・ナタンズ・イスファハンのイラン主要核施設３カ所を焦土化したことに対する報復攻撃だった。


◆イラン、報復を事前通知

イランは米空軍が投下したバンカーバスター爆弾と同じ数の１４発のミサイルを発射し、対応の程度を調節した。しかも空襲の数時間前に外交チャンネルを通じて米国とカタールに攻撃予定事実を通知し、「レッドラインは越えない」というメッセージを発信した。

イランのアラグチ外相は「米国の露骨な侵略行為に対応した」とし「イランは中東域内の緊張は望まない」と述べた。傍点は後者に打たれていると解釈された。米国はイランのミサイル１４発のうち１３発を正確に迎撃し、残りの１発も目標物から外れて打撃効果はなかったという。米国防総省は被害規模に関する中央日報の質問に「米国の被害は報告されなかった」と答えた。

◆イランは長期戦望まず

イランが紛争拡大を望まない背景には、紛争の長期化はプラスにならず、とにかく時間を稼ぐ必要があるという判断のためと分析される。イランはイスラエルとの武力攻防の過程でミサイル数百発を使用して在庫が減り、防空網が老朽化して空中戦の実行能力が顕著に落ちた状態だ。

さらに西側の長期間の制裁で経済は深刻な状況であり、内部事情が悪化している。米軍がイラン核施設を精密打撃した「ミッドナイトハンマー（真夜中の鉄つい）」作戦の遂行前、ホワイトハウスでは「イランの力が現在のように弱まった時期はなかった」との評価があったという。

◆トランプ大統領「攻撃を通知したイランに感謝」

この日、イランの「事前調整」式の報復攻撃にトランプ大統領も節制した反応を見せた。イランの報復直後、トランプ大統領はソーシャルメディアを通じて「（イランの攻撃は）我々の予想通り非常に弱い水準だった」とし、特に「イランが早期に（攻撃予定事実を）通知して死傷者が出ないようにしたことに感謝する」と謝意を表した。これに先立ち２１日のイラン核施設への大規模爆撃直後に「イランは平和を選択しなければならず、そうしなければ未来の攻撃ははるかに強まるだろう。まだ多くの目標物が残っていることを忘れてはならない」と報復時の強力対応を警告したのとは明確に異なるトーンだった。

紛争が拡大するかどうかのカギを握ったのは、「イラン核武器開発阻止」を名分に先制空襲したイスラエルの方だった。フォルドゥなどイランの核施設３カ所に対する米国の電撃的な大規模空襲も、イスラエルのネタニヤフ首相の執拗な説得のためだったという。

◆「イラン核施設を完全に破壊」…停戦の名分提示

バンカーバスターまで動員した米空軍の爆撃がイラン核施設を完全に破壊したかどうかは不確かだが、少なくともイランの核開発を一定期間遅らせるという点に異論は少ない。イスラエルとしては停戦の名分を最小限の範囲で確保したということだ。トランプ大統領がこの日、ソーシャルメディアで「イラン核施設は完全に破壊された。皆もが知っている」としたのも、武力攻防に終止符を打とうという名分を提示するためと解釈される。

トランプ大統領がソーシャルメディアで「サプライズ停戦宣言」を発表し、イスラエルとイランの衝突を大文字で「１２日戦争」と命名したのも、イスラエルを意識したものだという分析が出ている。親トランプ性向のオンラインメディア「ブレイトバートニュース」は「トランプ大統領が選択した『１２日戦争』というタイトルは、イスラエルが敵国を相手に劇的な勝利を収めた１９６７年の『６日戦争』の明白な暗示」と指摘した。

◆「１２日戦争論」　イスラエルを意識

イスラエルは１９６７年６月、「イスラエルを地図から消す」というエジプト・シリア・ヨルダンなどアラブ連合軍を相手に戦争をし、６日間で圧倒的な大勝を収めた。トランプ大統領はイスラエルが中東全域で軍事的優位を確認した「６日戦争」を５８年ぶりに歴史的にオマージュする方式で「１２日戦争」論を展開しながらイスラエルに停戦圧力を加えたという分析だ。

トランプ大統領本人も紛争拡大は大きな負担だったとみられる。トランプ大統領は執権１期目、「我々は中東（戦争）に７兆ドルを投じたが、何も残っていない」と述べるなど、過去に米国がしたイラク戦争、アフガニスタン戦争に強い不満を表した。

世界の警察国家の役割はこれ以上しないという大統領選挙公約で再執権に成功したが、約束とは違ってイスラエル・イラン戦争に介入し、「ＭＡＧＡ（米国を再び偉大に）」に代表される自身のコア支持層で強い反対が続く状況も政治的負担になったはずという声も聞こえる。