トランプ米大統領が１９日に対イラン軍事攻撃について「２週間以内に決める」と明らかにし、その背景をめぐりさまざまな観測が出ている。

トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスのレビット報道官が代読した声明で「近くイランと交渉する可能性が相当にあるという事実に基づいて（イランを攻撃）するかしないかを今後２週間以内に決める」とした。


これに対してまず「外交の時間」を稼ぐためのとの見方が優勢だ。トランプ大統領はこれまでイスラエルの対イラン攻撃への軍事介入を考慮してきた。しかしイランが水面下で米国との核交渉再開に関心を見せており問題をできる限り外交的に解決してみようとしているということだ。


ロイター通信はこの日外交消息筋の話として、ウィトコフ大統領中東担当特使とイランのアラグチ外相が今回の紛争発生から何回も通話したと伝えた。アラグチ外相はウィトコフ特使に「米国がイスラエルに戦争中断の圧力をかけるならば（イランは）核問題において柔軟性を見せることができる」との立場を明らかにしたという。

スイスのジュネーブでは２０日に米国の調整の下で英仏独とイランの外相級核交渉が開かれたりもした。

トランプ大統領がこのように事実上「交渉優先」に一歩退いたのは軍事介入に対する負担のためと解釈される。トランプ大統領支持層の中でも中東の戦争に米国が長期間関与することを懸念する声は多い。

英タイムズ紙は「トランプ大統領は『米軍が軍事介入する場合、イランが中東全域の米軍基地を攻撃し米兵を殺害しかねない』という参謀の懸念を受け入れ出口戦略を模索しているとみられる」と指摘した。

しかしむしろ「さらに強力な攻撃に向けた戦略」という分析も出ている。ジェームズ・スタブリディス元米海軍提督はＣＮＮに「イランが警戒心を解いたころにすぐ攻撃する賢い策略かもしれない」と話した。

ニューヨーク・タイムズは「積極的な欺瞞の意図はなくても米国としては２週間という時間で空母の域内配備などでイランの報復に備える時間を稼ぐことができる」とした。

また、米軍がバンカーバスターでイランの核心核施設フォルドを打撃した時の成功確率を高めるためのものである可能性もある。イスラエル軍がフォルドを狙った攻撃を繰り返すほど防空網はより無力化されるためだ。フォルド攻撃は今回のイスラエルの対イラン攻撃作戦の最終目標とされる。合わせてトランプ大統領の「２週間」の提示は「戦争スケジュール」をイスラエルに引っ張られないという意志の反映かもしれない。

反対に２週間で状況に特別な進展はないだろうという見通しもある。米政界で「２週間」とはトランプ大統領が政治的修辞として好んで使う「マジックナンバー」として知られる。

これまでトランプ大統領は重要な決定期限で何回も「２週間」を提示してきたが、実行されなかったり延ばされたりすることが繰り返された。一例として、先月末にウクライナ戦争の平和交渉と関連してロシアのプーチン大統領に「２週間以内に行動せよ」として最後通告をするようだった。しかし期限が過ぎても何の対応もしなかった。また、先月初めに「２週間以内にやる」と公言した医薬品に対する関税発表も期限を超えたがまだ何もない。

第1次政権当時は健康保険改革案、インフラ投資計画案発表も提示した２週間の期限を守らなかった。

これと関連しニューヨーク・タイムズは「トランプ大統領の２週間は現状況を免れようとするその場しのぎ的な発言かもしれない。なにか意味を持っているかもしれないが、何の意味もないかもしれない」と評した。