イ・ギテ世宗研究所研究委員
1965年に締結された日韓基本条約に代表される韓日国交正常化(いわゆる「65年体制」)は、未解決の過去の問題を保留したまま韓日修交を優先視した「不完全」な65年体制だった。今後、韓日の過去の問題は「不完全」な65年体制に起因する韓日葛藤と共に、異なる2つの次元の「歴史戦争」という、より複雑な形態に展開するおそれがある。
1つ目、日本社会の保守化の流れの中でより一層強まった日本の「歴史戦」展開だ。2015年、当時の安倍晋三首相は戦後70周年談話(安倍談話)の発表を通じて、日本が1930年代に軍部により誤った道に入ったと言及しながら1910年の強制併合の不法性を認めず日帝強占期の責任を回避し、これ以上日本の未来世代の謝罪は不必要と宣言することで、日本の歴史認識に一種の「ガイドライン」を提示した。こうしたガイドラインは、自民党内の最大派閥だった安倍派を中心に中国と韓国に歴史問題で決して譲歩してはならないという「歴史戦」主張に発展した。
2つ目、米国が主導してきた北東アジア国際秩序を再編しようとする中国の「歴史戦」攻勢だ。中国は第2次世界大戦勝利80周年を契機に日本に圧力を加える歴史戦を強化していて、特に台湾有事において戦略的に重要となる沖縄の歴史的正統性を揺さぶろうとする動きを続けている。中国は今後、韓中間の歴史連帯を通じて韓米日協力構図の弛緩を狙う可能性がある。
何よりも重要なのは、韓日両国が「不完全」な65年体制を認め、過去をめぐる葛藤を緩和して管理するための共同の方策を模索することだ。最近訪韓した長島昭久首相補佐官が提示した3つの原則は注目される。長島補佐官は▼短期的な利害得失より長期的な戦略利益を重視する▼過去の合意(政府談話など)を尊重して後退しない▼両国国民を勇気を持って説得していくという3つの韓日歴史問題に関する原則を強調した。
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