コーヒー豆。[写真 シャッターストック]
国際コーヒー機関と主要外信などによると、先月のコーヒー豆価格は前年同期比60%以上上がった。この5年間の上昇率は250%に達する。ニューヨークICEアラビカコーヒー先物市場では今年初めに1ポンド=4ドルを超え、最高値を記録した。主にインスタントコーヒーに使われるロブスタ種もこの5年間で2倍以上値段が上がった。
原因は複合的だ。まず気候変動が挙げられる。コーヒー豆は気温と降水量、土壌の水分などに敏感だ。栽培条件が厳しいため世界1位のコーヒー生産国で38%を占めるブラジルと2位で17%のベトナムに対する依存度が高い。コロンビア、インドネシア、エチオピアを含めた上位5カ国で世界のコーヒー豆の70%以上を生産する。
しかしこの数年間にブラジルが水不足で栽培に問題が生じた。ベトナムも異常高温と洪水や水不足を経験した。結局これらの国の生産量減少が価格上昇につながっているのだ。コーヒーは平均気温18~24度で良く育つが、地球温暖化で主要栽培地の気温が上昇し供給量減少圧力はますます高まっている。
脆弱な供給網も原因に挙げられる。コロナ禍当時の港湾閉鎖と物流ボトルネックなどの余波でコンテナの運送費が上がった。現在も供給網は当時の水準を回復できずにいる。イエメンのフーシ派のためスエズ運河を通る欧州行きルートがふさがり運送距離が伸びたりもした。
ここに米トランプ大統領の関税政策も一役買った。米国はブラジル、ベトナム、コロンビアなどに最大10%の関税を新たに課した。コーヒー豆に高率の税金がかけられれば消費者が飲むコーヒー価格が上がるほかない。中国製の使い捨てコーヒーカップの価格も大きく上がった。
主要国ではいわゆる「コーヒーフレーション(コーヒー+インフレ)」現象まで現れている。米労働統計局によると、米国のロースティングコーヒー価格は5月に前年比11.8%、インスタントコーヒー価格は12.4%上がった。消費者物価指数(CPI)上昇率2.4%の5倍水準だ。
ラボバンクのアナリスト、カルロス・メラ氏は中央日報との電子メールインタビューで、「コーヒーは主にドルで取引されるが、今年に入りドル安傾向を見せている点もコーヒーなどの原材料価格を押し上げている」と説明した。国連食糧農業機関(FAO)は「欧州基準でコーヒー豆価格が1%上がれば1年7カ月後に消費者価格が0.24%上がる。コーヒー豆価格上昇の余波は最小4年以上続くだろう」と予想する。
韓国もコーヒー価格が高止まりしている。東西食品は先月末からコーヒーミックスは9.0%、コーヒー飲料は4.4%出庫価格を引き上げた。6カ月間隔で2回の値上げによりコーヒーミックス価格は20%近く上がった。スターバックスが今年初めに価格を上げたのに続き、ペクタバン、メガMGCなど低価格ブランドも主要メニューの価格を100~200ウォンずつ引き上げた。東西食品は「全量海外から輸入しており為替変動にともなう負担が大きい」と説明した。
2023年基準で韓国の1人当たり年間コーヒー消費量は約405杯で、世界平均の152杯の2倍以上だ。韓国の消費者の負担も大きくなると予想される。
最近物価対策を準備する韓国政府にも示唆するところが少なくない。気候、為替、物流、政策など複雑な物価指標の要因が絡まっているのはコーヒーだけでない。政府が対外変数を直接統制できないだけに対応には限界がある。専門家らは短期的価格統制よりは流通構造改善など構造的物価管理体系を構築することが必要だと助言する。カルロス氏は「政策立案者は急激な政策変化が意図しない結果を招くことがあるということを認識しなければならない」と助言した。
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