北朝鮮の金正恩国務委員長が17日にロシアのショイグ国家安全保障会議書記に面会する様子。[写真 労働新聞=ニュース1]
労働新聞は18日、金委員長が前日ロシアのショイグ国家安全保障会議書記に面会した事実を伝えながら「ここ数週間、両国の国家元首たちが親書交換を通じて合意した重要問題を履行するための当面の協力事項と展望計画が深く議論された」と伝えた。
続けて金委員長が「特殊軍事作戦とクルスク州の現況に対する正確な理解に基づいて、両国間の条約の範囲内で朝鮮民主主義人民共和国が協力する内容を確定し、関連計画を受諾」したと伝えた。これは前日にショイグ氏がロシアメディアを通じて明らかにした工兵・軍建設人材6000人追加派遣を意味するとみられる。
「受諾」という表現を使ったのはロシアのプーチン大統領が先に要請し、これを金委員長が受け入れたという意味と解釈できる。
ただ同紙は6000人の派遣など具体的な協議内容については明らかにしなかった。これに対して専門家の間ではロシア派遣軍に多くの死傷者が発生し動揺する民心を意識したとみられるとの評価が出ている。
北朝鮮軍の工兵支援が実際に行われるならば3度目の派兵となる。韓国国家情報院と韓国軍当局によると、北朝鮮は昨年末に第一陣1万900人、今年1~3月に第二陣3000人の合わせて1万4000人の戦闘兵を派遣した。
ロシアメディアはショイグ氏の発言として、北朝鮮がクルスク地域に埋設された地雷を除去するため工兵1000人を送り、ウクライナの攻撃で破壊されたインフラを再建するための軍事建設人材5000人を派遣することにしたと伝えた。「軍建設工員は道路、建物、電力、通信設備の復旧に、工兵団は地雷除去作業に投入されるだろう」としながらだ。
専門家の間では軍建設工員派遣を通じたクルスク再建事業への参加は朝ロ軍事協力の多角化を象徴するとの評価が出ている。これはそのまま両国間の協力が当分全方向につながる土台を設けたという意味だ。
実際に工兵・軍建設人材派遣はウクライナ戦争で北朝鮮の役割が戦闘支援から戦後再建に拡大することを意味する。ロシアの立場ではまだ戦争の危険が残る再奪還地域に防衛・警備任務遂行に向けた軍事施設再整備、地雷のような危険要素除去、道路・橋梁・電力・通信など社会基盤施設建設を担う人材の投入が急がれる。これはロシアが奪還したクルスク地域の安定化にも必須の部分だ。
北朝鮮の立場でも工兵・軍建設工員追加派遣は安定した外貨稼ぎの窓口を確保することになる。同時にこれを口実に今後ロシアから先端技術移転などさらに高い水準の見返りを要求できるようになった。
慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「今後朝ロ首脳会談で軍事・経済・外交協力を包括する議題を協議できる土台が用意されたとみることができる。軍現代化と核・ミサイル能力強化に向けた協力を加速できる環境が造成された側面もある」と話した。
また、労働新聞は「複雑な国際および地域情勢をはじめ相互の関心事となる問題に対する両国指導部の見解と意見が幅広く交換され、完全な見解一致が遂げられた」と報道した。韓半島(朝鮮半島)情勢だけでなく、イスラエルとイランの武力衝突、主要7カ国(G7)首脳会議、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議のような国際懸案に対する議論も進めただろうというのが専門家らの見方だ。
ここには中東問題に国際社会の関心が傾いた隙を利用し、ロシアとの協力を通じて軍事的・経済的な利益を最大化しようとする北朝鮮の意図も反映されたと分析される。
これと関連し韓国外交部は、「北朝鮮海外労働者の受け入れと雇用は国連安保理決議の明白な違反であり、韓国政府はロシアと北朝鮮が違法な協力を持続していることに厳重な懸念を示し、これをただちに中断することを促す」と明らかにした。
米国務省報道官はこの日、中央日報の関連質疑に「ロシアがウクライナを対象にした軍事作戦を支援するため北朝鮮の労働者と軍人を続けて使うことが深く懸念される」と明らかにした。また「北朝鮮の労働者は北朝鮮の不法な大量破壊兵器(WMD)と弾道ミサイル計画を財政的に支援しており、ロシアを含め海外にいるこれら労働者は国連安保理対北朝鮮決議2397号に違反し収益を創出している」と指摘した。
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