ある消費者が15日にソウル市内の大型マートの食料品売り場を見ている。1-3月期の全国の1人以上世帯の消費支出のうち食費支出が占める割合は過去最高水準だった。[写真 ニュース1]
これはそれだけ食費負担が大きくなったという意味だ。過去には外食費を除いたエンゲル係数を活用したが、次第に自宅で食事する代わりに外食するケースが増え、外食費まで考慮しなくては現実を正確に反映できない。食費負担が増えれば住宅、教育、医療など他の主要支出を減らす圧力が大きくなる。全般的な消費減少により内需景気不振をさらに悪化させる恐れもある。
所得下位20%の1分位世帯の食費支出の割合は32.5%で平均値より3.3ポイント高かった。低所得層であるほど支出全体が少ないため、必ず一定水準を使わなければならない食費の割合が高くなるほかない。
食費負担が拡大した原因は、まず2020年以降に関連物価が大きく上がったところにある。年間食品物価指数上昇率は2020年の2.9%から2021年が4.7%、2022年が6.9%、2023年が5.6%、昨年が3.6%となった。同じ期間の消費者物価指数上昇率よりも上昇幅が大きい。今年も1-3月期に消費者物価指数は2.1%の上昇にとどまったが、食品物価指数は2.7%と大きく上がった。
2020年から先月までの細部品目別累積物価上昇率を見ると、ミカンが166.6%上がった。ナシが82.2%、リンゴが67.8%、スイカが53.3%など、果物が大きく上がった。加工食品の場合、食用油が69.5%、ジャムが65.4%、干しイカが57.1%、ゴマ油が51.5%、めんが51.1%など大きく上がった。外食の場合、のり巻きが37.8%、ハンバーガーが37.2%、トッポッキが34.7%、チャジャンミョンが33.4%、刺身が33.3%など、上昇が目立った。
2020年のコロナ禍、異常気象にともなう農産物作況不振、ロシアとウクライナの戦争にともなう供給網への支障などが複合的に影響を及ぼした。急激な最低賃金引き上げと高率のフードデリバリーアプリ手数料などが外食費を引き上げた要因に選ばれる。最近のイスラエルとイランの軍事紛争で国際原油価格が急騰し食品物価に及ぼす影響が懸念される。
韓国は食糧自給率が2021~2023年平均で19.5%と低い。輸入依存度が高いためドル高の影響が大きかった。韓国の購買力平価を考慮した食料品と飲料価格水準が2023年基準で147と国際協力開発機構(OECD)の平均値100より高い背景だ。OECDによるとこれは加盟38カ国のうちスイスの163に次いで2番目だ。米国が94、日本が126、英国が89、ドイツが107と韓国より低かった。
韓国政府は食品を中心にした物価対策を出す予定だ。▽政府支援を通じた流通チャンネル別価格割引拡大▽割当関税拡大▽価格談合など不公正取引取締り強化――などが議論される。首相候補に指名された金民錫(キム・ミンソク)氏は13日、「食卓物価安定傾聴懇談会」で、「流通過程が不明だったり不透明な品目に対しては取引の透明性を高めなければならない」と明らかにした。
韓国開発研究院(KDI)のチョン・ギュチョル経済展望室長は根本対策として「複雑な流通構造を単純化する方向で改善し、食品輸入の敷居をもっと低くするなど供給ルートを多角化する必要がある」と助言した。
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