長くても２時間と予定されていたぎこちない会議がのり巻き（キムパプ）１本を添えた３時間４０分間という熱を帯びた会議に変わった。韓国の李在明（イ・ジェミョン）大統領が５日、竜山（ヨンサン）大統領室で主宰した就任後初の国務会議は予想とは異なる展開を見せた。この日の会議には李周浩（イ・ジュホ）首相職務代行副首相兼教育部長官と劉相任（ユ・サンイム）科学技術情報通信部長官、趙兌烈（チョ・テヨル）外交部長官ら尹錫悦（ユン・ソクヨル）政府で任命された長・次官が多数参加した。

やや冷たい雰囲気を感じたように、会議開始直後、李大統領は出席者に「ちょっと変な感じですよね？　笑顔でやっていきましょう」と話して口火を切った。続いて「我々は皆、国民から委任された業務を遂行する代理人なので、公職にいる期間だけは各自最善を尽くせばよいと思う」とした。また「（公職者の）皆さんが持っている権限・責任を一瞬たりともないがしろにできないではないか」とし「各部署単位で最もよく熟知していると思うので、その範囲内で皆さんの意見も聞き、私も言うことは言おうと思う」と話した。


非公開会議では企画財政部や科学技術情報通信部、農林畜産食品部など経済部署を中心に懸案報告が行われた。各部署の長・次官が５分間懸案を報告すると、李大統領が質問して問答をやりとりするというやり方だった。


◇李在明式「実用閣僚会議」…長・次官と問答を繰り返しやりとり

出席者によると、李大統領は中小ベンチャー企業部には「小商工人と庶民の中で、悪性の借金を抱えている人々にはどのような支援が必要なのか」と、また科学技術情報通信部には「人工知能（ＡＩ）分野に必要なグラフィック処理装置（ＧＰＵ）確保はどうなっていきつつあるのか」とそれぞれ尋ねた。農林畜産食品部には「コメの栽培面積を減らすのが基本方向なら、代替作物栽培に誘導する支援政策が必要ではないか」という意見も提示した。

以前の閣僚会議は組まれたシナリオ通りに進む場合が多かった。大統領が原稿に書かれた通り冒頭発言をし、長官たちが準備した報告を終えれば必要な議決事項だけを案件別に議決した後に終わらせる形だった。大統領がシナリオになかった発言をしても、ほとんどが一方的な指示であり、問答が長くやり取りされる場合は多くなかった。だが、この日は大統領と長・次官間の質疑応答が数回繰り返されたという。長官の代わりに会議に参加したある次官は「打ち解けた雰囲気で問答だけが繰り返し行ったり来たりしていた」とし「かなり突っ込んだ質問をしていた」と伝えた。他の倍席者は「尹錫悦前大統領の場合、大統領が長々と自分の話をして、時折１、２人を特定して話させるやり方だったが、李大統領は本人が知りたいことが多いからなのか人の話をとても積極的に聞こうとしていた」とその違いを説明した。李大統領の公約に関連した対話も行き来した。李大統領は海洋水産部には釜山（プサン）移転の迅速な準備を指示し、雇用労働部には勤労監督官増員の必要性を話して現況把握と可能な方法提示を指示した。

会議の後、出席者の間では「選挙遊説をしながら問題と指摘された事項や普段気になっていたことを多く質問した」「長年の政治経験のためなのか、内容に精通しているという感じを受けた。実質的な閣僚会議だった」「大統領の理解が速い。勘が鋭い」という評価が出てきた。

当初、大統領室参謀はこの日の会議が２時間内に終了すると予定していた。しかし質疑応答が長くなり、会議は３時間４０分間続いた。李大統領を含む出席者は会議の途中にのり巻きを注文して１本ずつ食べて昼食に変えた。会議過程で特定部署の長官を叱責したり語調を高めたりすることはなかったという。

この日李大統領は「地下バンカー」と呼ばれる国家危機管理センターで初めての安全治安点検会議も主宰した。李大統領は「我々が国民から権限を委任されて代わりに仕事をしているが、国民の命を守ることほど重要なのことがどこにあるか」とし「予測される事故または事件が発生する場合、今後厳正に対応する」と話した。

一方、李大統領は執務室を青瓦台（チョンワデ）に移転するまでは尹氏が使っていた漢南洞（ハンナムドン）官邸から出退勤することにした。カン・ユジョン報道官は「第３の空間を使うことになれば、該当機関に及ぼす影響と引っ越しに伴う税金浪費を勘案した決定」と話した。