米国のピート・ヘグセス国防長官(左)と日本の中谷元防衛相が5月31日(現地時間)、シンガポール・アジア安全保障会議で握手をしている。[写真 ロイター=聯合ニュース]
既に提案した「ワンシアター(One theater)」構想から軍事的色彩は削ぎ落としたが、事実上名称だけを変更して米国の「対中牽制(けんせい)オールイン」基調に積極的に歩調をそろえることを鮮明にした姿だ。これに伴い、米日同盟主導の地域内の対中国圧迫構図に参加するのかそうでないかが、きょう3日に行われる大統領選挙を通じて新たにスタートする韓国政府がぶつかる主要な安全保障懸案になるだろうという観測が出ている。
2日、日本防衛省や現地メディアによると、中谷元防衛相は5月31日のシャングリラ会合の演説で、地域内で急変する安全保障環境に言及して「オーシャンの下で各国が連携して対話を重ね、ルールに基づく国際秩序の回復を図っていくべき」としながら「日本はその中心であり続ける」と明らかにした。中谷氏はその後、記者団と会って「オーシャン構想はインド太平洋地域を大きく俯瞰(ふかん)し、連係と協力を強化してシナジーを発揮しようという方向」と説明した。
これに先立ち、中谷氏は3月末にピート・ヘグセス米国防長官が訪日した際に、韓半島(朝鮮半島)と東・南シナ海を一つの作戦および戦域としてとらえる「ワンシアター構想」を初めて提案した(朝日新聞4月15日付報道)。オーシャンは用語を純化しただけで同じ区域の安全保障協力体を提案したという点で本質的にワンシアター構想と大きく違わないという指摘だ。日本国防トップがこれを提案したこと自体が台湾海峡有事の際の共同軍事対応に傍点を置いたと解釈される余地がある。
オーシャンは韓国まで含む構想だ。だが、中谷氏がオーシャンを提唱した今回のシャングリラ会合に韓国国防トップは出席しなかった。国内の政治的混乱などで韓国が抜けたアジア主要安全保障行事で、韓国の安全保障態勢に直接的影響を及ぼしかねない構想を日本が先制的に唱えたのだ。
専門家は韓国の新政府は直ちにこれに参加するのかどうか問われることになるだろうと指摘する。もし新政府が米中の間でバランスを取る側に方向を設定したりためらったりする態度を見せれば、韓米同盟自体に影響を与えかねないという懸念も出ている。
これに関連し、峨山(アサン)政策研究院のヤン・ウク研究委員は「地域内で米中間の軍事的衝突が実際に起きる場合、韓国がこれに対して全く関与できないことがあるという認識は安易な態度」としながら「米側の戦略的目標と我々の国益の接点を作り出すのが課題」と助言した。
米側の要求事項は複合請求書になるとみられる。米国が再編しようとするインド太平洋戦略に韓国が積極的に呼応しないと判断する場合、防衛費分担金増額-戦時作戦統制権転換-在韓米軍縮小などにつながる「安保一人立ち」パッケージを強要するシナリオが現実化する可能性もある。
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