3日後に迫った韓国大統領選挙は政策論争の代わりに泥沼化した人身攻撃ばかり乱舞したため候補らの公約集も後手後手に回った。「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補は期日前投票開始3日前、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は1日前に公約集を出した。内容も具体性に劣り急ごしらえの印象があるものが少なくない。その上、新政権は政権引継ぎ委員会を挟まずに発足することになり、中途半端な公約がそのまま政策として施行されかねず、より懸念が大きい。そのため候補らは残りの選挙運動期間だけでも「大統領選挙後の韓国」を考えて公約を整え、発言にも慎重を期さなければならないだろう。しかしこれまで李在明・金文洙候補が見せた動きは正反対のケースが多く心配は並みのことではない。
まず国の存亡がかかった外交・安全保障領域で、両候補は不適切な発言により欠礼議論を自ら招いた。李候補は25日の遊説で「南米の『アなんとか(アルゼンチン)』『ブなんとか(ブラジル)』という国、かつて好調だったのにクーデターで完全に壊れた」と話した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の戒厳を批判しようとする趣旨だったが、あえて南米1~2位の大国であり韓国外交の域内拠点国を名指しで結び付ける必要があったのか疑問だ。金文洙候補は先月27日のテレビ討論で西海(黄海)中国人カジノ建設議論と関連し「外国人がたくさん観光に来て米軍が駐留することが韓国の防衛力に重要な部分を構成している。特に中国人も西海と近いため」と話した。外国の民間人、それも最大貿易相手国であり北朝鮮の核パートナーである中国の観光客を「対北朝鮮防衛力の一部」と話したのは、韓国が彼らを「トリップワイヤー」と認識しているのではないかとの議論を呼びかねない。こうした浅はかな発言をしておいて当選した場合、どのように該当国首脳らと向き合うのか心配だ。両候補はトランプ発関税戦争、朝ロ密着、米中対立のような核心懸案を解消する案は全く提示できなかった。就任と同時に押し寄せてくる荒波に対する準備の代わりに外交コストばかり増幅させる欠礼性発言をはばからないので大統領選挙後の国が心配になる。
経済もやはり両候補の公約を見ると大統領選挙以降を考えて出したものなのか懸念される。李候補は5大経済強国入りと人工知能(AI)3大強国、潜在成長率3%の達成を公約した。先端産業に100兆ウォンを投資するという案も出した。金候補も「企業請願担当大統領室首席」の新設と「AI官民革新ファンドなど100兆ウォン以上の投資」を公約に掲げた。だがこれらの公約を履行するためには、李候補は約210兆ウォン、金候補は約150兆ウォンが必要になるものと集計された(韓国マニフェスト実践本部)が、どのようにしてこれほどの巨額の資金を調達するのかに対し両候補とも納得できるほどの方法を提示できていない。だれが当選しても財政健全性の悪化は火を見るより明らかだろうとの批判が出ている理由だ。
洛東江(ナクトンガン)など4大河川の堰を全面開放するという李候補の「4大河川再自然化」の公約も大統領選挙後の国を考えて出したものなのか疑問だ。洪水や渇水の防止に向け数千億ウォンをかけて建設した堰を廃棄し事実上失敗と結論が出た文在寅(ムン・ジェイン)政権の堰解体政策に回帰するということだ。こうした場合、次の政権期間中の巨額の税金浪費だけでなく、不必要な対立により社会的費用が大きくなることは明らかだ。実用を叫んできた李候補の立場とも合わないだけに再考することを望みたい。
政権の任期は5年だけだが韓国の未来は無限だ。大統領選挙の勝利は重要だが授権を夢見る候補ならば外交・経済だけは実現性・持続可能性と利害相反調整が可能な公約を提示するという責任感が切実だ。そうしてこそ執権後に超党派的支持を得て国政を円滑に運営する道が開かれる。
まず国の存亡がかかった外交・安全保障領域で、両候補は不適切な発言により欠礼議論を自ら招いた。李候補は25日の遊説で「南米の『アなんとか(アルゼンチン)』『ブなんとか(ブラジル)』という国、かつて好調だったのにクーデターで完全に壊れた」と話した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の戒厳を批判しようとする趣旨だったが、あえて南米1~2位の大国であり韓国外交の域内拠点国を名指しで結び付ける必要があったのか疑問だ。金文洙候補は先月27日のテレビ討論で西海(黄海)中国人カジノ建設議論と関連し「外国人がたくさん観光に来て米軍が駐留することが韓国の防衛力に重要な部分を構成している。特に中国人も西海と近いため」と話した。外国の民間人、それも最大貿易相手国であり北朝鮮の核パートナーである中国の観光客を「対北朝鮮防衛力の一部」と話したのは、韓国が彼らを「トリップワイヤー」と認識しているのではないかとの議論を呼びかねない。こうした浅はかな発言をしておいて当選した場合、どのように該当国首脳らと向き合うのか心配だ。両候補はトランプ発関税戦争、朝ロ密着、米中対立のような核心懸案を解消する案は全く提示できなかった。就任と同時に押し寄せてくる荒波に対する準備の代わりに外交コストばかり増幅させる欠礼性発言をはばからないので大統領選挙後の国が心配になる。
経済もやはり両候補の公約を見ると大統領選挙以降を考えて出したものなのか懸念される。李候補は5大経済強国入りと人工知能(AI)3大強国、潜在成長率3%の達成を公約した。先端産業に100兆ウォンを投資するという案も出した。金候補も「企業請願担当大統領室首席」の新設と「AI官民革新ファンドなど100兆ウォン以上の投資」を公約に掲げた。だがこれらの公約を履行するためには、李候補は約210兆ウォン、金候補は約150兆ウォンが必要になるものと集計された(韓国マニフェスト実践本部)が、どのようにしてこれほどの巨額の資金を調達するのかに対し両候補とも納得できるほどの方法を提示できていない。だれが当選しても財政健全性の悪化は火を見るより明らかだろうとの批判が出ている理由だ。
洛東江(ナクトンガン)など4大河川の堰を全面開放するという李候補の「4大河川再自然化」の公約も大統領選挙後の国を考えて出したものなのか疑問だ。洪水や渇水の防止に向け数千億ウォンをかけて建設した堰を廃棄し事実上失敗と結論が出た文在寅(ムン・ジェイン)政権の堰解体政策に回帰するということだ。こうした場合、次の政権期間中の巨額の税金浪費だけでなく、不必要な対立により社会的費用が大きくなることは明らかだ。実用を叫んできた李候補の立場とも合わないだけに再考することを望みたい。
政権の任期は5年だけだが韓国の未来は無限だ。大統領選挙の勝利は重要だが授権を夢見る候補ならば外交・経済だけは実現性・持続可能性と利害相反調整が可能な公約を提示するという責任感が切実だ。そうしてこそ執権後に超党派的支持を得て国政を円滑に運営する道が開かれる。
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