米国防総省が中国関連の偶発事態に対応するため在韓米軍を4500人縮小してインド太平洋地域で再配置することを検討していると、ウォールストリートジャーナルが報道した。実際、在韓米軍縮小の検討は昨日今日のことでない。
米国の冷戦戦略家ジョージ・ケナン氏は北朝鮮の南侵が阻止されれば朝鮮半島から米軍を静かに撤収させるべきだと促したが、当時のトルーマン大統領は助言を聞かなかった。1969年にアジアを訪問中だったニクソン大統領はグアムで「アジア同盟国は自ら国防力を強化しなければいけない」と発表した。ニクソン大統領は結局、韓国でなく東南アジア駐留米軍を撤収したが、韓国政府は最悪の状況に対応していた。
カーター大統領は1976年、ベトナム戦争で疲弊していた有権者に向かって在韓米軍の撤収を公約した。国防長官と国家安全保障補佐官の助言にもかかわらずカーター大統領は動かなかっが、在韓米軍の撤収は日本防衛に大きな脅威だと日本政府が警告し、非武装地帯の北側近隣に新たに配置された北朝鮮軍を発見するとあきらめた。
息子のブッシュ政権でも在韓米軍に関する議論があった。ラムズフェルド国防長官は在韓米軍自体に懐疑的であり、朝鮮半島関連の負担を減らして中国の脅威に集中しようとした。国家安全保障補佐官と国務省を越えて戦時作戦権移譲を進め、台湾有事に在韓米軍を活用できる戦略的柔軟性を確保しようとした。
2019年にはトランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とのハノイ首脳会談でいつか在韓米軍を撤収したいと発言し、波紋が広がった。実際、ハノイ首脳会談のはるかに以前からトランプ大統領は参謀や共和党のトランプ派議員らにこれを話していた。トランプ大統領の参謀は静かに議会と協調し、国防権限法に大統領が議会の承認なく在韓米軍や在日米軍の撤収に国防予算を使用できないという内容を入れた。トランプ大統領は結局あきらめた。
今まで米国政府・議会で在韓米軍の撤収を検討または提案した事例は少なくとも6回あった。一見、今回も前例と同じ結論に到達するように見える。しかし内部事情をみると、今回は実際に在韓米軍規模の大々的な縮小があるかもしれない。
まず、最近になって米中の軍事力均衡が大きく崩れた。トランプ大統領は今まで在韓米軍の縮小や撤収にいかなる言及もしていない。しかし国防総省の政策優先順位を深くみると、台湾や第1列島線に対する中国の侵略を阻止するために可能なあらゆる資源を探しているのが分かる。台湾海峡防御のリスクが高まるほど、アジア域内の米軍駐留に対する米国のあいまい性はさらに高まるしかない。
2つ目、トランプ2期目の国家安保参謀の面々を見ると、1期目と比べて柔弱な人物で構成されている。官僚らが在韓米軍駐留の持続を主張しても、縮小や撤収の決定が下されれば内部の抵抗が大きくないということだ。3つ目、ヘグセス長官とコルビー次官および他の任命職のこれまでの動きを見ると、同盟国の役割に対する期待が大きい点が分かる。韓国の次期政権は発足直後、潜在的な在韓米軍変化管理案を準備する必要があるだろう。
韓国進歩陣営の在韓米軍に対する長い間の両価的立場を考えると、李在明(イ・ジェミョン)候補が当選する場合、在韓米軍の縮小に早期に同意するのではないかと懸念される。その場合、中国・北朝鮮が韓米同盟の亀裂を深めようとする可能性があり、極めて危険だ。金文洙(キム・ムンス)候補が当選する場合、保守の長い教科書的原則に基づき、在韓米軍にいかなる変化もあってはならないと主張しないか心配だ。トランプ大統領がこれを無視すれば韓米同盟の弱化として映るからだ。
次期政権は在韓米軍の小規模調整、インド太平洋地域の力の均衡、宇宙およびサイバーなど新しい領域で大韓民国の新しい役割を約束するなど、未来のための新しい同盟の枠組みを構築するために米国と協調するのが望ましいだろう。これを通じて両国政府が域内の安保環境構築のために協力する意志があることを見せることができる。トランプ政権は今まともに作動せず、韓国は6・3大統領選挙に目を向けているが、両国の賢者らがこの問題に対する答えを探していることを望む。
マイケル・グリーン/豪シドニー大米国学センター所長/米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長
◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
米国の冷戦戦略家ジョージ・ケナン氏は北朝鮮の南侵が阻止されれば朝鮮半島から米軍を静かに撤収させるべきだと促したが、当時のトルーマン大統領は助言を聞かなかった。1969年にアジアを訪問中だったニクソン大統領はグアムで「アジア同盟国は自ら国防力を強化しなければいけない」と発表した。ニクソン大統領は結局、韓国でなく東南アジア駐留米軍を撤収したが、韓国政府は最悪の状況に対応していた。
カーター大統領は1976年、ベトナム戦争で疲弊していた有権者に向かって在韓米軍の撤収を公約した。国防長官と国家安全保障補佐官の助言にもかかわらずカーター大統領は動かなかっが、在韓米軍の撤収は日本防衛に大きな脅威だと日本政府が警告し、非武装地帯の北側近隣に新たに配置された北朝鮮軍を発見するとあきらめた。
息子のブッシュ政権でも在韓米軍に関する議論があった。ラムズフェルド国防長官は在韓米軍自体に懐疑的であり、朝鮮半島関連の負担を減らして中国の脅威に集中しようとした。国家安全保障補佐官と国務省を越えて戦時作戦権移譲を進め、台湾有事に在韓米軍を活用できる戦略的柔軟性を確保しようとした。
2019年にはトランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とのハノイ首脳会談でいつか在韓米軍を撤収したいと発言し、波紋が広がった。実際、ハノイ首脳会談のはるかに以前からトランプ大統領は参謀や共和党のトランプ派議員らにこれを話していた。トランプ大統領の参謀は静かに議会と協調し、国防権限法に大統領が議会の承認なく在韓米軍や在日米軍の撤収に国防予算を使用できないという内容を入れた。トランプ大統領は結局あきらめた。
今まで米国政府・議会で在韓米軍の撤収を検討または提案した事例は少なくとも6回あった。一見、今回も前例と同じ結論に到達するように見える。しかし内部事情をみると、今回は実際に在韓米軍規模の大々的な縮小があるかもしれない。
まず、最近になって米中の軍事力均衡が大きく崩れた。トランプ大統領は今まで在韓米軍の縮小や撤収にいかなる言及もしていない。しかし国防総省の政策優先順位を深くみると、台湾や第1列島線に対する中国の侵略を阻止するために可能なあらゆる資源を探しているのが分かる。台湾海峡防御のリスクが高まるほど、アジア域内の米軍駐留に対する米国のあいまい性はさらに高まるしかない。
2つ目、トランプ2期目の国家安保参謀の面々を見ると、1期目と比べて柔弱な人物で構成されている。官僚らが在韓米軍駐留の持続を主張しても、縮小や撤収の決定が下されれば内部の抵抗が大きくないということだ。3つ目、ヘグセス長官とコルビー次官および他の任命職のこれまでの動きを見ると、同盟国の役割に対する期待が大きい点が分かる。韓国の次期政権は発足直後、潜在的な在韓米軍変化管理案を準備する必要があるだろう。
韓国進歩陣営の在韓米軍に対する長い間の両価的立場を考えると、李在明(イ・ジェミョン)候補が当選する場合、在韓米軍の縮小に早期に同意するのではないかと懸念される。その場合、中国・北朝鮮が韓米同盟の亀裂を深めようとする可能性があり、極めて危険だ。金文洙(キム・ムンス)候補が当選する場合、保守の長い教科書的原則に基づき、在韓米軍にいかなる変化もあってはならないと主張しないか心配だ。トランプ大統領がこれを無視すれば韓米同盟の弱化として映るからだ。
次期政権は在韓米軍の小規模調整、インド太平洋地域の力の均衡、宇宙およびサイバーなど新しい領域で大韓民国の新しい役割を約束するなど、未来のための新しい同盟の枠組みを構築するために米国と協調するのが望ましいだろう。これを通じて両国政府が域内の安保環境構築のために協力する意志があることを見せることができる。トランプ政権は今まともに作動せず、韓国は6・3大統領選挙に目を向けているが、両国の賢者らがこの問題に対する答えを探していることを望む。
マイケル・グリーン/豪シドニー大米国学センター所長/米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長
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