韓半島平和ウォッチ
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の韓日関係改善のための総力戦に比べて新たに入る政府がどのような立場を取るのか、日本は変化の可能性に注目してきた。与党「国民の力」は尹錫悦政府の対日政策を継承する可能性が高いが、尹政府の対日政策を批判してきた野党「共に民主党」が執権すれば復元された経済・安保分野の両国協力と活性化した民間交流が文在寅(ムン・ジェイン)政府時期に戻るか、自分たちが望まない歴史(過去史)問題と対面しなければならないという懸念を日本は抱いている。実際、民主党は公約集で「未来志向的韓日関係を追求する」としつつも「日本軍慰安婦被害者の尊厳を守り、歴史認識向上のために努力する」と明らかにし、執権時には言うべきことは言うという基調の政策路線変化を予告している。
◇日本の懸念、自ら招いた側面が大きい
しかし、果たして日本はこのような懸念をする資格があるのか分からない。韓国は強制徴用被害者に支払うべき賠償金を支援財団など第三者が返済する決定と施行で日本の呼応を要求した。日本が「誠意ある呼応」に応じていたなら第三者弁済ははるかに順調に進行していたことだろう。また、日本が韓国国民の感情を考慮していたなら、韓国の「譲歩」で世界文化遺産に登録された佐渡金山資料の展示と追悼式で誠意あるアプローチをするべきだった。だが、日本はかえって韓国国民の反発を甘受した尹政府の決断と推進を最大限活用して自国の実利を取って教条化する立場を取った。そのような日本が今になって韓国の新政府発足以降、韓日関係の退行を心配するのは話にならない。日本は自分たちが自らこのような局面を招いた側面を省察しなければならないだろう。
日本の懸念とは別に、私は2つの理由で韓日関係は退行しないと考えている。まず、国際秩序の変化の厳重性のためだ。米国のドナルド・トランプ大統領の登場は国際安保・経済秩序に大きな波紋を広げている。韓国と日本はどちらも「偉大な米国(Great America)」を再現するために米国中心主義を掲げたトランプの激しい圧迫に直面している。関税政策に伴う通商摩擦が拡大していて、中国の台湾侵攻の可能性に関連して北東アジア安保地形が変化して北朝鮮の核・ミサイル高度化に伴う安保脅威が増大している。そのうえウクライナ戦争を通して進展してきた朝ロ密着が北朝鮮の派兵につながり、従来の安保秩序の枠組みが揺らいでいる状況で韓日両国共助の必要性はより一層高まった。このような厳しい状況で歴史問題によって韓日関係が退行するのは誰も願っていない方向だ。
2つ目の理由は「国民の声」が韓日関係の健全な未来を望んでいるためだ。国民の声は表面に現れている「表層の声」と心の底から希望する「深層の声」がある。韓日歴史問題を巡って文在寅政府と尹錫悦政府ではそれぞれ異なる声が表層でぶつかり、葛藤と対立の様相を呈していった。一方、深層の声が形成されて行った側面もある。韓日葛藤で国民が分裂してはいけないという声、利害団体の利益のために国民感情を利用するなという声、政治家が歴史問題で陣営間の葛藤を増幅させるなという声が代表的だ。さらに文在寅政府の時に「遅滞した和解」や尹錫悦政府の「強要された和解」を越えて韓日和解に向かって前進するように求める注文も深層で響いている。国民和合と韓日和解を目指すように求める深層の声は死者と生ける者、そして今後生まれてくる者のための峻厳な命令だ。政治指導者は表層と深層の声を区別して深層で響いている声に耳を傾けながら政治的判断を下し、国民的合意を導き出さなければならない。
【コラム】新政府の韓日関係、「文喜相案」の復活が答えだ(2)
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