高齢者雇用博覧会を訪問した就職希望者が採用公告掲示板を見ている姿をイメージ化したもの。 [写真 中央フォト]
だが高齢者雇用率1位の中身を見れば悲しい。就業者の半分以上の53.2%がリタイア前の業務と関連のない仕事に再就職し、零細事業所で非正規職として低熟練・単純労働をしている。65歳以上の賃金労働者のうち61.2%が非正規職だ。35.4%が単純労務職に従事する。就業者の半分近い49.4%は従業員10人未満の零細事業者で働いていることが明らかになった。
高齢者がこのように劣悪な状況を甘受して就業戦線に再び飛び込むのは不十分なセーフティネットをはじめ老後の準備がまともにされていないためだ。韓国の高齢者貧困率38.2%は2023年基準でOECD最高水準だ。年金をもらっていても暮らし向きは厳しい。報告書によると、65歳以上の年金所得者の月平均年金所得は80万ウォンほどだ。2024年の1人世帯の月最低生計費134万ウォンに満たなかった。生計を維持するには年金だけでは大きく不足するため再就職に出て高齢者雇用率が高まったのだ。
韓国は昨年、65歳以上が全人口の20%以上の「超高齢社会」に進入した。シニア人材をしっかりと活用することが国家競争力向上にも重要になった。このためには高齢者の再就職を支援し、既存の業務関連性を生かして仕事ができるよう雇用ミスマッチ解消案を模索しなければならない。これを通じて高齢期の所得空白を緩和し専門性も活用できる。また、一律的な定年延長よりは企業が自律的に再雇用などを選択し継続雇用に向けた環境も用意しなければならない。
ただ高齢者雇用と貧困問題解決に向けた基礎年金拡大には慎重であるべきだ。韓国開発研究院(KDI)の報告書によると、国民年金加入率が低い超高齢層の貧困率は高いが、1950年以降生まれの世代の貧困率は低くなっているだけに、需給基準を高める代わりに、より貧しい高齢層を厚く支援する方策をともに考えなければならない。
高齢者の貧困と劣悪な高齢層の就業状況を改善してこそ高齢者雇用率1位の裏の影を消すことができる。高齢層の専門性を死蔵せずに彼らがしっかり働ける議論と制度設計が至急だ。
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