現代自動車から分社したスタートアップ「ピットイン」が電気自動車バッテリーを10分以内に交換できるシステムを開発した。7月からは電気自動車とバッテリーを別々に購入しバッテリー関連サービスを定額のサブスクリプションで提供するタクシー向けのシステムを開始する。27日、京畿道安養のピットインセンターに電気自動車タクシーがバッテリーを交換しにきた様子。イ・スジョン記者
自動車業界によると、現代(ヒョンデ)自動車から分社したスタートアップ「ピットイン」が現代自動車、起亜(キア)、現代グロービスなどと手を組み、7月から安養地域のタクシー法人を対象にバッテリーのレンタルと交換のサブスクサービスを実施する。タクシー法人がこのサービスで電気自動車を起亜から購入すると、車両所有権はタクシー法人が、バッテリー所有権は現代グロービスが持つ。ピットインは現代グロービスからバッテリーを借り、契約タクシーにバッテリーの充電と交換サービスを提供する。
例えば5060万ウォンのタクシー用起亜「EV6」をタクシー法人がこの方法で購入すると、費用は電気自動車補助金含めて1860万ウォンと約37%まで下がる。バッテリー利用料金は月140万ウォン水準だ。2交代で運行する法人タクシー会社が同サイズのLPGタクシーを購入する場合、自動車代2700万ウォンと燃料費が月150万~180万ウォンかかることを考慮すると、電気自動車をLPG車より安く運用できることになる。ピットインのキム・セグォン代表は「電気自動車バッテリーは高価な消耗品。バッテリー所有権を分離して電気自動車価格が下がり、バッテリーを充電する必要なく速やかに交換できる便宜を提供できる。バッテリー破損・事故保障サービスも含めた」と説明した。
車とバッテリーを別々に登録できるようになったのは、今回の事業が既存の法令が適用されない「規制特例」の対象であるためだ。現行の自動車管理法ではバッテリーは車両部品とみるためバッテリー所有権だけ分離して登録できない。韓国国土交通部モビリティ革新委員会は昨年10月、現代自動車・起亜、ピットインなどが申請した車両とバッテリーの所有権分離とバッテリー定額レンタル事業に一時的特例を付与した。
現代自動車グループが規制特例を通じてスタートアップと実証事業に出たのは、電気自動車の大衆化速度を高め、バッテリーのサブスク・リサイクル生態系の基盤を固めるためだ。現代自動車は昨年2月に「バッテリー着脱型車両製作」の特例事業者にも選ばれた。今後バッテリー交換・サブスク事業に進出する可能性もある。現代自動車・起亜は車両購入時にプロモーションなどを提供し、ピットインとのデータ共有と技術協力などを通じて事業性を検証する予定だ。現代自動車関係者は「今回の事業結果により現代自動車もタクシー用電気自動車販売にバッテリー所有権分離モデルを適用することもできる」と話した。バッテリーリサイクル事業をしている現代グロービスはバッテリー所有権を確保しただけにリース以外の事業にも弾みをつける見通しだ。
ただこのサービスが営業用車両から一般の乗用電気自動車に拡大するには自動車管理法改正が必須だ。起亜はバッテリー所有権を分離せず一般消費者用電気自動車でバッテリーサブスクサービスを試みたが昨年中断した。法改正なくしてこの事業を活性化しにくいという判断だった。業界では法改正により車体とバッテリーの所有権が分離するならば電気自動車の価格障壁がさらに低くなり、バッテリーのない中古車市場も開かれると期待する。
国民大学自動車・運送デザイン学科のクォン・ヨンジュ教授は「世界最大の電気自動車市場である中国はバッテリー交換型電気自動車システムを政府主導で推進し早期に定着させた。韓国でも政府が法改正とバッテリー交換標準を定めるなど制度をまとめてこそ乗用電気自動車がさらに大衆化できるだろう」と話した。
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