2019年4月26日(現地時間)、米ホワイトハウスで握手するトランプ大統領(右)と安倍晋三首相 [ロイター=聯合ニュース]
同盟国の役割を中国牽制にまで拡大するべきという米国の安保戦略基調は結局、費用問題とも直結する。安保分野まで自国の経済的利益と連結し、さらに負担を転嫁する、いわゆる同盟に対する米国式「安保アウトソーシング」だ。「日本は直ちにGDP比3%水準に国防予算を増やすべき」というコルビー米国防次官の発言も似た脈絡だ。
トランプ1期目で前例もある。2019年、トランプ大統領は訪日中に当時の安倍晋三首相から105機規模のF-35追加購買約束を引き出した。米日貿易交渉が行われていた時期の合意だった。対日貿易赤字をF-35で相殺しようとするトランプ政権の意図が成果を上げたのだ。
トランプ大統領はF-22など先端戦闘機の販売などで在日米軍駐留経費など費用の負担を減らそうとする可能性が高い。すでに4月、トランプ大統領は米日関税交渉で日本の在日米軍駐留費用の負担が少ないと不満を表示し、圧力を予告した。安倍政権にF-35輸出を貫徹したように今回も日本にF-22という選択肢を提示することで、日本の前向きな回答を期待しているのではという解釈が出てくる理由だ。
◆現実性に疑問…交渉カードとして活用か
トランプ大統領のこうした提案に対しては、実現の可能性が低いという指摘もある。F-22の場合、輸出禁止法が維持されているうえ、生産ラインは2011年以降停止している状態だ。2016年に米議会はF-22の生産再開を検討したが、1機あたりの費用が2億600万ー2億1600万ドルと予想されてあきらめた。最後に製作されたF-22の費用1億3700万ドル(約195億円)より経済性が落ちるという結論だった。F-47は開発段階であり、日本の立場では特に慎重になるしかない。英国・イタリアと共同で第6世代戦闘機を開発することにした日本がここから手を引くのも容易でない。
トランプ大統領が今後、日本との多様な交渉で主導権を確保するために今回の提案をしたという見方が出てくる理由だ。日本は2025年2月の米日首脳会談でC-17輸送機購買意思を明らかにするなど、トランプ式防衛産業取引に呼応する意思を表した。F-22とF-47という非現実的な目標を提示した後、相手に譲歩するという認識を持たせ、最終的に最大の利益を握ろうとする「アンカリング効果」を狙った可能性があるということだ。
軍の内外では、韓国の新政権が発足すればトランプ大統領が似た取引を進める可能性があるという見方が多い。軍当局者は「東アジアの中国牽制という『軸』で米国が韓米同盟と米日同盟の競争構図をつくる可能性も排除できない」と予想した。
石破首相との電話でF-22、F-47に言及したトランプ大統領…また確認された「安保取引」(1)
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