◇トランプ減税案の波紋大きく

２１日（現地時間）、３０年満期米国国債金利が１９カ月ぶりに取引場で５．１％ラインを突破した（国債価格は下落）。米国国債ショックだ。トランプ減税案が莫大な借金（財政赤字）の上に乗っている米国経済をさらに悪化させる恐れがあるとの懸念が高まりながらだ。


米紙ウォール・ストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）によると、この日米国３０年物米国国債金利は前日比０．１１１％ポイント上昇した年５．０９％を記録した。取引中には５．１１％まで高まった。取引場で高点基準として２０２３年１０月２６日（年５．１３５％）以来、１年７カ月ぶりに最も高かった。日本時間で２２日午後６時基準で３０年物国債金利は年５．０８％台で取引されている。グローバル債券市場ベンチマークである米国１０年物金利は今月初めに４．２％台から２１日４．６０５％に高まった。


米国債券価格だけでなく、米国株式とドル価値が同時に下落する「トリプル安」が現れた。

ダウ平均株価（－１．９１％）、Ｓ＆Ｐ　５００（－１．６１％）、ナスダック指数（－１．４１％）など米国３大指数も一斉に急落した。日本円・ユーロ貨幣など主要６カ国通貨に対するドル価値を現わすドルインデックスは９９．５６で、１０営業日ぶりに１００を下回った。

米国国債金利発作のトリガーは不振の米国国債入札の成績表だった。米国財務省によると、２１日１６０億ドル（約２兆３０００億円）規模の２０年満期新規国債金利は最近６回の入札平均値（年４．６１３％）を大きく上回る年５．０４７％で落札された。米国債券に対する投資家の関心が低くなるとさらに高い利子（収益率）を提示したのだ。最高の安全資産に挙げられていた米国国債に対する投資家の信頼が揺らぎかねないという懸念が現実になった。米国が追加で国債を発行（供給）するかもしれないという不安も金利を上昇させる要因として作用した。

最近ドナルド・トランプ大統領が大規模な減税法案を強く推し進めているからだ。米国議会合同租税委員会は減税法案が通過する場合、１０年間財政赤字が２兆５０００億ドル以上伸びる可能性があると推定した。

財政赤字が膨らめば米国政府は借金を返済するために追加で借入（国債発行）に出る可能性がある。この場合、国債金利はさらに高まり、利子は雪だるま式に増える。ブルームバーグによると、３５兆ドル相当の負債の沼に落ちた米国は昨年利払い費用だけで約８８００億ドルを支払った。

市場が最も懸念しているのは「債券自警団（Ｂｏｎｄ　ｖｉｇｉｌａｎｔｅｓ）」の帰還だ。債券自警団は政府が財政支出を過度に拡大する場合、国債を投げ売り（金利急騰）して政策変化を誘導する投資家を意味する。組織形態ではないが、小規模ヘッジファンドや債券投資家が集団で行動し、市場に及ぼす影響が大きい。ウォール街有数の投資戦略家だったエド・ヤルデニ氏が１９８３年に初めて使った単語だ。

２１日（現地時間）、ブルームバーグは米国政府の財政支出を抑制するためにさらに高い債券収益率を要求する債権自警団が浮上する可能性があると予想した。Ｊ．Ｐ．モルガン資産運用マネジャーのプリヤ・ミシュラ氏もブルームバーグを通じて「債券市場は（利上げ圧迫で）財政赤字をこれ以上無視できないという警告を送っている」と話した。また、米国で１１５億ドル規模のヘッジファンド（ガルダ・キャピタル・パートナーズ）を運営するティム・マグナスン最高投資責任者（ＣＩＯ）は「市場自らこの問題に懲戒を加えるだろう」と話した。

専門家は今後債券を含む米国金融資産を売る「セルアメリカ」が再点火されると予想した。


債券自警団、米国に警告…国債５．１％タッチ（２）