格付け機関ムーディーズ・ニューヨーク本社のロゴ [ロイター=聯合ニュース]
米国の格下げは他人事でない。安全資産の米国債と米ドルの価値が同時に下落し、世界金融市場全般に余波が広がるおそれもある。関税戦争が小康状態に入って弱まっていた「セルUSA」の流れがまた強まるという懸念もある。今後、トランプ政権の関税と減税政策にもブレーキがかかる可能性があるため、その影響を注視する必要がある。
国家財政が厳しくなる状況で米国の格下げが我々に示唆する点は少なくない。2020年の新型コロナ感染拡大以降、毎年100兆ウォン(10兆円)前後の財政赤字が生じているが、今年はすでに1-3月期だけで61兆3000億ウォンの赤字となった。税収欠損も過去2年間で87兆2000億ウォンにのぼる。景気不振の影響で今年も大規模な欠損が避けられない見込みだ。国家債務(1175兆9000億ウォン)は3カ月間で35兆ウォンほど増えた。国際通貨基金(IMF)によると、今年の韓国の国家負債比率はGDPの54.5%で、非基軸通貨国の平均値(54.3%)を超える見込みだ。
状況がこうであるにもかかわらず大統領選挙の候補らは減税と莫大な財源が必要なバラマキ公約を連日出している。李在明(イ・ジェミョン)共に民主党候補は児童手当支給対象と金額拡大(8歳→18歳未満、月10万ウォン→20万ウォン)のほか、糧穀管理法改正、農漁村基本所得などを公約した。金文洙(キム・ムンス)国民の力候補は所得税控除拡大など各種減税案を出した。ともに年間数十兆ウォンの資金が必要な事業だ。両候補が公約した看病費への健康保険適用だけで年間15兆ウォンの財源が必要となる。
公約通りになれば国家債務は雪だるま式に膨らみ、韓国の格付けも危険になる。フィッチは2月、「韓国の政治状況によって負債が増えれば格下げする可能性がある」と伝えた。格下げは政府と企業の費用負担を増やし、潜在成長率の低下に直面した韓国経済をさらに難しくする。候補らは国をどん底に落としかねないポピュリズム公約を自制しなければならない。
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