ＡＩ時代には戦争もＡＩとロボットが率先してすることになる。ウクライナ戦争を通じてパランティアやスペースＸのような企業の重要性が浮上した。米国のトランプ政権は国防システムを無人化するためにアンドゥリル、シールドＡＩのような国防ＡＩベンチャー企業の成長を支援している。

だが国防ハードウエアのない国防は考えることはできない。この１０年間に中国が「中国製造２０２５」政策を推進し中国の製造能力が米国と韓国を含む友好国の能力を大きく上回ることになった。中国と覇権競争を行っている米国の立場では造船業、製造業などで米国と補完的な産業生態系を持っている韓国と協力しなければならない。


米中覇権が衝突する地政学的断層地帯に位置する韓国はこの地政学的状況とＡＩのために前例のない跳躍の機会を迎えている。問題は国のリーダーシップと戦略だ。


韓国のＡＩのスタートは遅くなかった。ＡＩ時代を予想した新たな人材養成と研究体系を構築するためのソウル大学ＡＩ研究院（元ビッグデータ研究院）は２０１４年初めに米カリフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学のデータサイエンスイニシアチブと同じ時期に出発した。マサチューセッツ工科大学（ＭＩＴ）よりも早かった。教育部の支援でソウル大学データサイエンス大学院を推進し、科学技術部のＡＩ大学院プログラムもともに作った。

しかしこれまでの成果を振り返ってみれば政府と民間のＡＩに対する投資は規模も非常に不足し、韓国の産業生態系の強みを生かす戦略もなかった。先を行く米国と中国の後を追う戦略では現在の機会を生かすことはできない。

経済と行政、国防、安全保障など国のすべての部分に影響を及ぼすＡＩを発展させるためにはＡＩ３位の強国というスローガンだけではならない。科学技術情報通信部長官を副首相にするといって変わるものはない。大統領が委員長を務めたＡＩ委員会の下、首席副首相級ＡＩ副委員長がすべての政府官庁予算の最小１０％を行政ＡＩ、国防ＡＩ、医療ＡＩなどＡＩ産業生態系構築の呼び水として投資する責任を負う時、韓国が得意ないくつかの分野で世界第１、第２のＡＩ強国になることができるだろう。ＡＩ国粋主義を警戒し自由世界でＡＩを先導する米シリコンバレーとの連帯を強化しなければならない。

チャ・サンギュン／ソウル大学データサイエンス大学院名誉教授


【コラム】ＡＩ強国大韓民国の未来の姿と先制条件（１）