11日、バチカンのサンピエトロ大聖堂のバルコニーで祈りをささげる教皇レオ14世 [AFP=聯合ニュース]
絶対に覇権国出身の教皇はないという不文律を破って米国シカゴ生まれのロバート・プレボスト枢機卿が新教皇(レオ14世)に選出され、米国はお祭りムードだ。しかし同じ米国内でも完全に雰囲気が異なるところがある。「MAGA」に代表される極右保守陣営だ。極右インフルエンサーのローラ・ルーマー氏は新しい教皇に選出されたレオ14世に対し「バチカンのもう一つのマルクス主義操り人形」と「狙撃」した。新教皇が人種正義を支持して強硬移民政策を批判するなど「アメリカファースト」の対立点に立ったという理由からだ。
実際、レオ14世の政治的性向は不明だ。ソーシャルメディアの掲示物を通じて類推するしかないが、黒人人権運動を支持する内容やトランプ政権の不法滞在者強制追放政策を批判する文を載せた痕跡から、進歩改革性向である前任フランシスコ教皇の路線を継承する可能性が高いとみるようだ。
しかし、それでも「マルクス主義者」と烙印して罵倒するのは度が過ぎる攻撃だ。レオ14世は同性愛や中絶権問題などでカトリック正統教理から抜け出したことがない。急進左派どころか、むしろ2012年以降、共和党予備選挙投票に3回参加した記録もある。あえて理念的スペクトラムを問いただせば、進歩と保守の両極端に立つよりも信仰的良心に基づいて社会的弱者を抱擁して均衡を追求する「中庸の司牧者」というのが多数の評価だ。
そのような新教皇をすでに「アメリカファースト」と距離が遠いという理由で座標に置いて理念攻撃をするのは懸念される。教皇は政治指導者でなく米国の国境を越えて世界の14億人のカトリック信者を率いる「平和の使徒」だ。新教皇が戦争と憎悪、葛藤に陥った人類に平和と和合、包容の新しい道を照らすことを祈る。
キム・ヒョング/ワシントン総局長
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