韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官が24日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会で開かれた第424回国会(臨時会)外交統一委員会第2回全体会議で2025年度第1回補正予算案(政府)通過に対してコメントしている。[写真 ニュース1]
◇「海洋科学調査基地など検討」
韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官は28日、国会予算決算特別委員会の補正予算案総合政策質疑で、中国の構造物設置に比例的措置を考慮しているかという野党「共に民主党」尹準炳(ユン・ジュンビョン)議員の質問に「その可能性を念頭に置いて実効的代案を検討するというのが政府の立場」と答えた。続いて「中国がすでに養殖場用構造物を設置していることから、構造物を設置してこそ比例的措置になるのではないか」と聞かれると、趙氏は「それは経済的妥当性など他の考慮すべき要素がある。それをするのか、海洋科学調査基地をするのか、また別の用途のどのような構造物をするのかをすべて総合的に検討しているところ」と答えた。
韓国政府はこれまで実効性のある比例的対応原則を明らかにしてきたが、高位当局者が具体的に海洋科学調査基地を対応方案の一つとして言及したのは初めてだ。
これに関連して、政府消息筋は「まだ決定したものは何もない」としつつも「国家安全保障会議(NSC)を中心に数年間、中国の構造物に対する対応について議論してきた。我々も近海の似たような地点に浮体式海洋科学基地を設置する案がその一つ」と話した。続いて「暫定措置水域内に常時的に海洋汚染状況を監視できる施設を設置するのももう一つの選択肢」と説明した。
趙氏が言及した海洋科学調査基地設置案は中国に実質的な圧迫を加えることができる比例対応策を模索する過程から出た。韓国政府が西海構造物を初めて発見した2020年からNSC次元で多角的に検討したカードの一つだ。
◇養殖施設は実益なく排除
韓国政府は中国がPMZ内で無断運営中の浮体式深海漁業施設「深藍1・2号」と類似の養殖用構造物を設置するのは最初から選択肢から排除したという。韓国が類似の施設を作っても中国が宣伝しているように実際にサケを大量に収穫するのは難しいというのが海洋専門家の判断だ。中国が海外から導入したという養殖技術を韓国がそのまま再現できるかも確かではなく、サケ養殖経験のない韓国があえてこのような方式を模倣する実益も理由もないというのが政府の判断だ。
何よりも経済性が低い構想に民間業界が応じる可能性も高くない。中国が設置した西海構造物3基も名目上はすべて民間の施設だ。中国は23日に開かれた「第3回韓中海洋協力対話」で西海構造物3基に対する韓国側の撤去要求を拒否し、その理由に「民間が投資した施設」を挙げた。経済的利益を期待するのが難しい構造物を警告性として設置してみても、かえって中国が深藍のような構造物を増やしていく名分を提供する逆効果だけ生みかねないという指摘だ。比例対応の核心は「相手にも同じように痛みを与えること」だが、実益がないといえる。
趙氏がこの日、野党の攻勢に「実効的代案を検討しなければならない」という趣旨を強調したのもこのためだ。別の事案だが、2018年政府はPMZ内に中国の大型ブイ(buoy)を発見し、これに対して相応した大型海洋観測用ブイを設置したが、本質的な対応策にはならなかった。
現在の時点で、韓国政府の1次目標はPMZから中国が構造物を撤去させることだ。ただし、もしも韓国政府がPMZと重なる韓国の排他的経済水域(EEZ)内に海洋科学基地をはじめ新たな構造物を設置してもこれは固定式ではない可能性が高いという。「海洋環境に永久的な物理的影響を及ぼす行為」は国連海洋法協定違反に該当する場合があるためだ。これまで韓国はPMZでは一方的な現状変更行為をしてはいけないと中国構造物撤去を要求してきたが、自らこれを破る矛盾になる。
中国側の説明によると、深藍1・2号は水温変化により高低を調節できる浮体式構造物であり、これを管理するために2022年に石油ボーリング船を改造して作ったもう一つの構造物も永久固定式ではないと主張している。
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