ウクライナのゼレンスキー大統領は1月、ウクライナ軍がロシア西部クルスク地域で北朝鮮兵2人を捕虜にしたと明らかにした。写真はゼレンスキー大統領が公開した北朝鮮兵。 [ゼレンスキー大統領のX キャプチャー]
◆終戦控えて派兵を確認
朝鮮中央通信が28日に報道した労働党中央軍事委員会の立場文によると、北朝鮮は「ロシアのクルスク地域解放作戦に参戦して英雄的偉勲を立てた」と自評した後、「ロシア連邦のような強力な国家と同盟を結んだのは光栄」として派兵を初めて公式的に確認した。
これに関連し、トランプ大統領がウクライナ戦争の終戦協議を促す中、トランプ大統領の持続的な関心表明にも反応しなかった金正恩委員長が動き始めたという分析が出ている。決裂で終わった2019年のハノイ朝米首脳会談で友軍なくトランプ大統領を相手に面前でひじ鉄砲を食らった前歴を考慮すると、ロシアを同盟として確保するのが有利という思惑があるとみられる。
梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「トランプ大統領はロシアを終戦協議に引き込もうとする姿を見せているが、終戦が電撃的に実現する場合、北はまともに見返りを得られず疎外される可能性がある」とし「反対給付を確実に得るための決算作業の一環として派兵を公式化、正当化する必要があったのだろう」と話した。
◆韓国断絶→朝ロ同盟強調
金正恩委員長がロシア派兵を公式的に認める前に対南断絶措置を加速させたのも、こうした流れと無関係でないとみられる。金正恩委員長は25日、初めて「中間界線海域」という用語を使った。南北を「敵対的な二つの国家」関係と規定した後、従来の北方限界線(NLL))を否定し、北朝鮮だけの新しい南北海上境界線を主張したのだ。
2018、19年に南・北・米間の連鎖首脳会談が続いた当時、韓米が一つになって北朝鮮を相手にする構図だったなら、金正恩委員長が2次戦を控えて朝ロが連合して米国を相手にする大きな絵を描く可能性がある。そのためには断絶措置を通して韓国をまず交渉から除去するのが有利と判断する余地が大きい。実際、北朝鮮は今回の派兵を認めながら朝ロ条約を正当化し、ロシアの韓半島(朝鮮半島)介入の可能性まで開いておいた。
この場合、北朝鮮とロシアに個別に圧力を加えて各個撃破式で交渉力を高めるのが有利なトランプ大統領の計算は複雑になる。
統一研究院のホン・ミン研究委員は「北とロシアが互いに同盟と呼んで強固な支援勢力があることを誇示したのは、対米交渉力を高めようという意図から『同盟固め』に動いたということ」とし「派兵の事実をロシアと北朝鮮が相次いで認めたことで、朝ロを引き離そうとするトランプ大統領の試みはさらに難しくなるだろう」と話した。
◆犠牲になって疎外される可能性も
ただ、金正恩委員長の構想が望み通りに進むかは未知数だ。まだ人的・物的交流の増加を除いて、ロシアが北朝鮮に原子力潜水艦、大陸間弾道ミサイル(ICBM)再進入、核弾頭小型化関連核心技術を提供した状況は捕捉されていない。政府筋は「核拡散防止条約(NPT)体制上5つの核保有国(P5)の一つであるロシアがレッドラインを越えながらも北に技術を譲り渡すかは未知数」と説明した。
ロシアのプーチン大統領は現在のところ北朝鮮を友軍化する姿だが、トランプ大統領との交渉状況によっては北朝鮮が一つの交渉カードに転落する可能性も排除できない。金正恩委員長としては兵士の犠牲の対価も得られないまま強大国間の交渉から退けられる余地もあるということだ。
情勢の激変が予想される中、韓国も警戒心を緩めてはならないという指摘が出ている。外交部の当局者はこの日、「ロ朝はその間、国際社会の多くの指摘と一貫した証拠提示にもかかわらず、北朝鮮軍の派兵を否認したり回避したりした」とし「今になって派兵の事実を公開的に認め、これを国際法に全面的に符合すると主張したのは、依然として国際社会を愚弄するものであり、これを強く糾弾する」と明らかにした。
統一部・国防部もそれぞれ「(派兵は)北が若者を政権安定のために無惨に犠牲にさせた反人権・非倫理的な行為」「北が派兵を認めたのは犯罪行為を自認するものだ」という立場を表した。
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