昨年6月19日、「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長 [写真 EPA=聯合ニュース]
双方が条約に基づく派兵だとして正当性を付与しながら「悪い血盟」を公式化したのは、今後も有事の際の相互介入が可能だと宣言したのと変わらない。これは韓半島(朝鮮半島)で韓米同盟と朝ロ同盟の対立構図が形成されるという懸念が強まったという意味でもある。
この日の労働新聞によると、北朝鮮の軍事分野を総括する労働党中央軍事委員会は27日、国営メディアに立場文を送り、「共和国国家首班の命令に基づきクルスク地域解放作戦に参戦したわが武力区分隊がロシア連邦の領土を解放するのに重大な貢献をした」として解放作戦の「勝利的終結」を宣言した。また「両国の軍隊が肩を並べて血を流しながら戦ってつかんだ高貴な勝利」と意味を付与した。
これに先立ちロシア大統領府は、プーチン大統領が26日(現地時間)にゲラシモフ総参謀長から画像報告を受ける形式で北朝鮮軍の派兵を初めて認めた。「(北朝鮮軍が)ロシア軍と肩を並べて戦闘任務を遂行した」と述べながらだ。
◆ロシア、派兵事実を明らかにした北朝鮮に「実質的同盟」と初めて表現
北朝鮮が派兵を認めると同時に作戦の終結を知らせたのは、今後、戦死者の英雄化作業を通じて民心離反を最小化しようという意図と考えられる。北朝鮮は「(派兵は)今後、朝ロ親善協力関係のすべての方面で拡大発展に大きく寄与するはず」とし、事実上ロシアに補償も督促した。
梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「金正恩委員長の立場では派兵が正当だったという内部宣伝のため反対給付を受けなければならず、終戦の前に一種の朝ロ間の決算が行われるのが有利」と分析した。
注目される部分は、朝ロともに派兵の根拠を昨年6月のプーチン大統領の訪朝を契機に締結した新条約第4条に特定した点だ。第4条は「どちらか一方が武力侵攻を受ける場合、他方は遅滞なくあらゆる手段で軍事・その他の援助を提供する」と規定している。
スプートニク通信によると、ロシア大統領府のペスコフ報道官もこの日、「条約に基づき必要な場合は北朝鮮に軍事支援を提供することもある」と改めて確認した。「特別軍事作戦の経験を通して条約がどれほど効果的に作動するかを把握することができた」と述べながらだ。
党中央軍事委は「派兵は(条約)履行の最も忠実な行動的表現の事例」と強調した。プーチン大統領は声明で「朝鮮人民軍部隊の(戦闘)参加は条約の文言と精神に基づく」として第4条に言及した。
同時に北朝鮮は「同盟関係、兄弟関係の誇示」などに言及した。これは北朝鮮が血盟と認識する中国、兄弟国と呼ぶキューバ以上にロシアとの関係を重視しているということだ。
特にロシア当局者が北朝鮮を初めて「同盟」と描写したりもした。ロシア外務省のザハロワ報道官は公式声明と現地メディアのインタビューで「北朝鮮の友人が見せた連帯感は我々の関係が実質的に同盟レベルであることを示している」と明らかにした。
これに先立ち昨年6月の朝ロ首脳会談の後、金正恩委員長が「同盟関係という新たな高い水準」と意味付けした当時にも、共に壇上に立ったプーチン大統領は同盟という言葉を口にしなかったが、気流が変わったとみる余地がある。
双方が条約と同盟を前面に出しながら「闇の取引」を表に出したのは、韓半島有事の際、ロシアが介入する余地を広げたとみることができる。韓半島で韓米相互防衛条約と朝ロ新条約が衝突して戦略的競争が進む可能性も排除できない。韓米相互防衛条約第2条はどちらか一方に対する武力攻撃の脅威がある場合、これを阻止するための措置を「協議と合意」の下で取ると規定している。当初から朝ロ新条約第4条はこれを意識したものという指摘があった。
また、党中央軍事委は「金正恩同志は形成された戦況が条約第4条の発動に該当するという分析と判断に基づいて参戦を決定し、ロシア側に通知した」とも明らかにした。これは今後も条約4条を金正恩委員長とプーチン大統領の個人の恣意的判断に基づき発動する可能性があることを意味する。
これを受け、金正恩委員長のロシア答礼訪問などを通じた朝ロ首脳会談の可能性にも言及されている。ただ、金正恩委員長が多国間行事への出席を避け、ロシアの戦勝節(5月9日)でなく別の日程になる可能性があるというのが、政府内外の見方だ。
金正恩委員長としては朝米対話の再開までも念頭に置いてロシアを後ろ盾にするのが有利と判断するとみられる。
ただ、プーチン大統領が米国との終戦協議状況によって北朝鮮を交渉カードとして使用する可能性も依然としてあるという指摘だ。
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