25日に米メリーランド州ボルティモア港で暗雲が立ち込める中で輸入品を積んだ大型コンテナが積載されている。キム・ヒョング特派員
欧州製自動車やアジアからあふれてくる工業製品など輸入商品がボルティモア港で下ろされると10トン級以上の大型トラックに移され米国北部と南部、中部各地へと運ばれていく。ボルティモア港が米東部物流の心臓と呼ばれる理由だ。
◇関税不確実性大きくなり輸入品荷役急減
そんなボルティモア港に暗雲が立ち込めている。トランプ政権の「ジェットコースター関税」のためだ。輸出入景気の不確実性が大きくなって輸入品荷役が急減し、地域一帯の景気も明らかに冷え込んだ。ボルティモアのダンダーク・マリーン・ターミナル入口で中央日報と会った貨物ドライバーは「景気が良い時はターミナルのゲートで進入待ちのトラックが2マイル(3.2キロメートル)以上並んだが最近は半分になった」と話した。
輸入品の行き先は別にあった。米国税関の承認で関税を適用されずに外国からの輸入品を一時的に保管できる自由貿易地域(FTZ)だ。別名「保税倉庫」とも呼ばれるが、輸入品に高率の関税が課される際に輸入業者が輸入品をしばらく国内に出さず臨時にFTZに保管する方式を使う。
◇サッカーコート277面の面積の「保税倉庫」利用が急増
ボルティモアFTZを運営するボルティモア市開発公社のサラマンチャ理事は「トランプ大統領就任後にボルティモア港で荷役された輸入品の相当数がFTZに直行する」と話した。節税効果のためだ。ダンダーク・ターミナルに隣接したボルティモアFTZは大型倉庫とヤードで運営され、面積は489エーカーとサッカーコート277面分に相当する。取材チームが訪れたこの日、ダンダーク・ターミナル周辺のヤードには数百台の軽トラックが列を作って駐車していた。大型倉庫の中には靴、おもちゃ、衣類などの雑貨類や家電製品などが主に保管されているという。
トランプ政権が「関税爆弾」を予告し、発効直前または直後に引っ込めるなど予測不可能な状況が続くと輸入品をFTZに臨時保管しようとする企業が急増している。サラマンチャ理事は「関税率が急上昇し、また随時変化しながらFTZ利用を望む企業が昨年の2~4倍に増えた。少なくとも1カ月ほどはトランプ政権の関税政策を見守り輸入品を臨時保管すると考える企業」と説明した。
◇トランプ就任100日を読むコードは「破壊」
29日で発足100日を迎えるトランプ政権が変えた風景はボルティモア港だけではない。「アメリカファースト」を掲げたトランプ大統領の就任からこれまでの100日を読む核心コードは「破壊」だ。彼の再執権後に米国社会と国際秩序が完全に再編された点からだ。
韓国のような同盟国も例外がない「トランプ発関税戦争」は自由貿易に基づいた国際通商秩序を揺るがし、極端な保護貿易体制に変えた。民主主義と自由を守護するリーダーシップを自ら下ろし、伝統的同盟体制に亀裂を生じさせながら徹底的に国益だけ追求するというトランプ式国粋主義の面貌が増している。
◇自由民主陣営リーダーの役割放棄
ウクライナ戦争停戦の仲裁者役を自認して親プーチンに傾いた歩みは自由民主陣営のリーダーとして米国が構築した世界的な地位まで揺るがした。2月末にホワイトハウスを訪れたウクライナのゼレンスキー大統領に向かって「米国に感謝していない」として世界が見る前で公開的に非難し事実上追い返したことや、ウクライナ戦争3周年を迎えロシアの侵略責任を盛り込んだ国連総会決議案に米国がロシアや北朝鮮などとともに反対票を投じたのは米国の「変化」を象徴的に表わした場面だ。
<トランプ100日>米国を刺したトランプ関税…「物流の心臓」ボルティモア港が泣く(2)
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