(左側から)韓国の安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源部長官、崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官が米国のスコット・ベッセント財務長官、ジェミソン・グリア通商代表部(USTR)代表と24日(現地時間)、米国ワシントンDC財務省で開かれた「2プラス2通商協議」会議開始に先立ち記念写真を撮影している。[写真 韓国企画財政部]
来月に出される米財務省の為替相場報告書をテコにして圧力レベルを高める可能性がある。韓国は昨年11月、150億ドル以上の対米貿易黒字を出していることから「観察対象国」に指定された。観察対象国は米国の制裁を受ける為替相場操作国の前段階で、一種の警告の意味を込めている。ウォン相場が対ドルで当時よりもさらに下がっているだけに観察対象国は維持される可能性が高い。
韓国政府と専門家らは、韓国に対する為替相場の議題は「直接的な切り上げ要求」よりは「交渉圧力カード」として使われる可能性が高いと予想する。崇実(スンシル)大学経営大学院のイ・スンホン教授(元韓国銀行副総裁)は「プラザ合意の時とは違い世界の外為市場の開放度が高い状況で直接的な切り上げ要求をする可能性は低そうだ。交渉で有利な立場を占めるための一種の戦略とみられる」と説明した。実際に第1次トランプ政権では韓米FTA再協議を推進しながら強力な為替相場介入防止条項が含まれると予想したが、最終合意文では為替相場関連条項には言及されなかった。
それでも米国のウォン切り上げ圧力が現実化するならば、韓国は妙案を探すのが容易でない。西江(ソガン)大学国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「経済が鈍化している状況なのに金利を高めることもできず、すでに外為当局でウォン下落を防ぐために介入している状況なのに、さらに介入を増やすのも難しいだろう」と説明した。
ウォン相場が上がっても輸出中心の韓国経済は負担が大きい。イ教授は「ウォン相場が1ドル=1400ウォンで低い水準だから1300ウォンに上がるとしても水準自体は大きな問題にならない。問題は速度で、(切り上げ要求により)過度に速く上がる場合、企業は変動性に対応しにくく、比較的規模が小さい企業であるほど問題が発生する可能性がある」と説明した。
市場の一部では日本を襲った1985年のプラザ合意の悪夢が韓国を襲うのではないかとの懸念も出ている。これは円相場を急激に上昇させ日本の輸出競争力を低下させ、日本の長期景気低迷が触発される契機となった。韓国政府高位関係者は「具体的な議論の主題はまだ決まっていないが、プラザ合意のような要求は現実的に容易ではない」と話した。
一方、韓国政府は早ければ今週から米国との実務協議を通じて両国の通商交渉の具体的な譲歩案と要求事項などを議論する予定だ。米国の通商交渉を担当する米通商代表部(USTR)のグリア代表は来月15~16日に済州(チェジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)通産担当相会議期間中に韓国とのハイレベル協議に出る予定だ。中間点検次元のこの韓米ハイレベル協議では7月に妥結する合意の具体的な輪郭が現れる可能性がある。
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