2019年10月、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は金剛山(クムガンサン)観光地区を訪問し、金剛山に設置された韓国側の施設を撤去するよう指示した。 [朝鮮中央通信、聯合ニュース]
米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」は23日(現地時間)、金剛山(クムガンサン)観光地区一帯を撮影した衛星写真を根拠に「韓国所有の建物の相当数が撤去され、残りの建物はほとんどない」と伝えた。続いて「4月21日の衛星写真によると、アナンティゴルフリゾート&スパ(ダイヤモンドマウンテンゴルフリゾート&スパ)のメインクラブハウスとスパの建物は完全に撤去された」とし「建物の基礎の一部だけが残っている」と分析した。
政府関係者も「北側が金剛山観光地区内のアナンティゴルフ場、ガソリンスタンドを含む多数の施設を撤去中または撤去済みと把握している」と話した。
ただ、昨年12月に撤去の動きが把握された離散家族面会所の建物は健在であることが分かった。38ノース側は「12階建ての本館はまだ存在するが、2月に撮影した衛星写真には敷地内の付属建物2棟の屋根が撤去されたとみられる」と明らかにした。
これに先立ち政府は昨年12月と2月、北朝鮮がアナンティゴルフ場と離散家族面会所の撤去に着手する動きに対し「即刻中断」を促した。当局はこれを金正恩委員長の「敵対的な二つの国家論」に基づく物理的な断絶措置と判断している。
金正恩委員長は2019年1月、金剛山を訪問し、「見るだけでも気分が悪くなるみすぼらしい南側の施設をすべて取り払うべき」と指示した後、北朝鮮は現代峨山と政府所有のホテルや温泉など各種観光施設を撤去した。その後、当時の金徳訓(キム・ドクフン)首相が金剛山観光地区開発事業現場を視察する状況も捕捉された。
ただ、北朝鮮が金剛山に新しい観光施設を建設するためには多くの時間が必要というのが政府内外の見方だ。金正恩委員長は金剛山施設の撤去を指示しながらも「金剛山に南側の同胞が来ればいつでも歓迎する」と述べたが、これは現在の「統一・民族消し」基調と相反する側面がある。金正恩委員長が意欲的に造成した元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区もまだ本格的に稼働していない。
一方、一部の幹部の不正行為に対する責任で自粛中という金正恩委員長の最側近、趙甬元(チョ・ヨンウォン)労働党組織書記が北朝鮮で新しく発行された切手で捕捉された。北朝鮮の国家郵票発行局が「地方発展20×10政策」初年度の成果を記念するために最近発行した切手には、昨年12月20日の成川郡(ソンチョングン)地方工業工場竣工式当時に金正恩委員長に随行した趙甬元書記の姿がある。これは趙甬元書記が粛清や更迭ではなく謹慎・革命化教育など軽い懲戒処分を受けたという分析を後押しする。
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