米国のドナルド・トランプ大統領。 [写真 AP=聯合ニュース]
トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスで行った米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長就任式後の質疑応答で「フェンタニルとは異なる複数の要素が絡み合って(対中関税が)145%になった」とし「交渉をすればゼロになることはないが、関税率はそこまで高くはなくなるだろう」と答えた。
「中国に引き続き強く出る考えか」という質問にも「NO。我々は非常に良くするつもりで、彼らも良く行動するだろう」とした。あわせて「皆に公正な交渉になるだろうし、この過程は非常に速いスピードで進められるだろう」と明らかにした。
これに先立ち、スコット・ベッセント財務長官もJ.P.モルガンが非公開で主催した行事で「非常に近い将来、米中緊張が緩和されると予想する」とし「現在の水準の関税率では現状況を続けることができないということに皆が共感している」と伝えた。続いて「中国との次の段階の議論が進められるだろう。とても近い未来、中国との貿易緊張で緩和があるはずだ。トランプ政府の目標は中国との分離(デカップリング)ではない」と強調した。両者が貿易を完全に遮断する最悪の状況は回避するという趣旨とみられる。これについて、中国外交部の郭嘉昆報道官は「戦うなら最後まで相対して戦うが、対話の扉は大きく開いている」という従来の立場を繰り返した。
トランプ氏はまた「米連邦準備制度理事会(FRB)は金利を下げなければならず、今がベストなタイミングだ」として再度利下げを要求した。しかし「私は(パウエルFRB議長が)利下げアイデアにもう少し積極的になることを望んでいるだけで、彼を解雇するつもりは全くない」と言った。17日「解任は早ければ早いほどよい」と言った自身の発言を翻意した。
このような立場変化は金融市場の不安が大きくなったためだ。特に米国長期国債の価格が暴落して「Sell USA(米国資産売り)」現象が強まった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、トランプ氏がパウエル氏の解任の可能性に言及した17日、米国国債30年物金利は取引中に4.834%まで急騰した。21日には金利が4.94%まで上昇して5%更新まで目前に置いた。米国国債価格が大きく揺らぎ、ドル価値と米国株式も急落した。これはFRBの通貨政策に対する信頼が揺らいだためだ。もしパウエル氏が退くことになれば、FRBの通貨政策の独立性に対する懸念が高まる。物価上昇率が完全に落ち着いていない状況で、FRBが政治的圧迫で無理な利下げに出る可能性がある。
米国国債金利が上昇すれば、負債の多い米国政府の負担が大きくなる。米国モーゲージ金利などにも影響を及ぼすが、来年中間選挙を戦わなければならないトランプ氏としては政治的負担が大きい。これに対して市場に宥和的なジェスチャーを送ったという解釈だ。トランプ氏が一歩後退する姿を見せると市場は歓呼した。22日(現地時間)、トランプ氏の発言が伝えられた後、米国国債30年物金利は取引中に4.7%台まで下落し、ダウ平均株価(2.66%)・S&P500(2.51%)・ナスダック(2.71%)などの指数はすべて2%台の反騰を示した。
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