昨年9月、米海軍の軍需支援艦「ウォリー・シラー」が整備を受けるためハンファオーシャン巨済(コジェ)事業場に入った。米海軍と国内企業の関係者が記念撮影をしている。 [聯合ニュース]
◆世界最強だった米造船の興亡
米国の商船隊(Merchant Marine)は独立戦争時代から国家安保に核心の役割をした。当時から米国は自国の商船隊を海軍と共に国家安保の重要な手段と認識していた。しかし第1次世界大戦当時、商船隊の不足で戦略物資輸送に大きな問題に直面し、米国は1920年、自国造船産業育成と保護のために商船法(Merchant Marine Act)を制定した。1936年には商船育成法を制定して連邦政府が船舶建造費と人件費を補助し、教育機関では船舶を運営管理する海技師を養成した。また、連邦政府は海洋安保と産業のコントロールタワー、海事委員会(US Maritime Commission)も設置した。1940年にクレーンを利用したモジュール工法を通じてコンテナ船とバルク船を開発し、米国の造船能力は黄金期を築いた。その後の5年間、米国は約4600隻の商船を建造し、1960年には700隻の国籍商船隊を構成した。商船隊が米海軍と共に全世界の海を統制し、米国は覇権国の地位を確保するに至った。
このように体系的な育成で光を放った米国の造船、海運産業は冷戦体制が崩れながら衰退の道に入った。財政不足による補助金支給中断、グローバル化による安価船舶のアウトソーシング、船舶の登録国を任意に選定する便宜置籍制度(flags of convenience)、海技師の養成不足などが理由だった。
何より海洋覇権に対するライバル(ソ連)が消えて生じた政府と軍指導部の驕りと無関心が問題だった。これを受け、2000年代以降、米国商船隊は200隻に減り、船舶の平均「年齢」も45年と老朽化した。米国の経済規模は4倍に拡大したが、これを支える自国の商船隊は3分の1に縮小した。1947年に通商の60%を占めた商船隊の輸送実績は1%に急落し、このため米軍の遠征作戦に必要な軍需物資輸送能力も顕著に減少した。さらに大きな問題は、韓半島(朝鮮半島)有事の際、米国が商船隊を利用して武器と兵力を運送するのが容易でないという点だ。米国の造船産業が活況だった韓国戦争(朝鮮戦争)当時、米国は初めて軍海上輸送体系(Military Sealift)概念を適用して255隻の商船を動員したが、今では米国造船の衰退で韓国の安保も影響を受けるしかない。
【コラム】米国の海洋安保危機、他人事でない=韓国(2)
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