台湾新竹科学団地にあるTSMCのオフィス。[写真 ロイター=聯合ニュース]
TSMCは17日、2025年1-3月期の実績発表会を開き、売上8392億5000万台湾ドル(約3兆6700億円)、純利益3616億台湾ドルを記録したと明らかにした。昨年同期比それぞれ41.6%、60%増加した。ブルームバーグが集計した市場見通し(3468億台湾ドル)も上回った。
好実績はビッグテック顧客の人工知能(AI)半導体注文が増加した影響とみられる。TSMCのウェンデル・フアン最高財務責任者(CFO)はこの日の実績発表会で「3ナノ工程技術は1-3月期全体売上の22%を占め、7ナノ以下先端技術が73%」と説明した。TSMCの核心顧客であるエヌビディア(NVIDIA)が今年1-3月期「Blackwell(ブラックウェル)」シリーズの最新チップGB200を発売するなどAIアクセラレータの出荷量が増えた効果が反映された。ブルームバーグはトランプ政府の相互関税で世界的貿易混乱が予想される中で高性能半導体の在庫を備蓄しておこうとする米国企業の需要が増えた影響だと分析した。
TSMCの実績展望値は先端テック企業の「リトマス試験紙」「風向計」とも呼ばれる。アップル(Apple)・エヌビディアなどビッグテック企業の大部分を顧客としているTSMCは注文量に基づいて実績展望値を提示するためだ。この日、TSMCは4-6月期の売上を284億~292億ドル(約4兆210億~4兆1560億円)の間で予測し、前年同期比38%増加すると明らかにした。
魏哲家最高経営責任者(CEO)は「関税政策の潜在的影響による不確実性とリスクは承知している」としながらも「現在まで顧客の大きな変化はない。今年全体売上が約25%ほど増加すると予想していて、今後数カ月内により良い状況を迎えることができる」とし、肯定的な展望を出した。
特に、彼はAI需要は後退しないと確信した。魏氏は「今年は引き続き顧客の強いAI関連の需要が持続的に現れ、AIアクセラレータの売上が二倍に増えるだろう」と付け加えた。
TSMCの楽観と異なり、市場の懸念は相変わらずだ。AIブームが停滞し、関税への懸念は高まり、TSMCの株価(台湾上場)は今年約21%下落した。中国に対する米国政府のAIチップ輸出規制が強化される流れもTSMCにとっては向かい風だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は投資リサーチ会社「モーニングスター」のアナリスト、ブライアン・コレロ氏の言葉を引用して「関税と地政学的緊張はチップメーカーにとって長・短期的に十分に懸念すべき要素であり、AI拡散も不透明だ」とした。このような懸念を意識したように、この日魏氏は「不確実性の中でも技術リーダーシップ、顧客の信頼に集中して競争力を強化していく」と述べた。
半導体装備業界からはすでに否定的信号が感知されている。「スーパー乙」として通じるEUV(極端紫外線)露光装備企業であるASMLは前日の実績発表で1-3月期に39億4000万ユーロ(約6377億円)を受注したと発表したが、これはブルームバーグが集計した市場見通し平均48億2000万ユーロに大きく及ばない数値だ。高価装備の特性上、関税率が高まれば税金負担が大幅に増えることから、半導体企業が装備の注文を縮小したと分析できる。ASMLのクリストフ・フーケCEOは「最近の関税発表はマクロ的な不確実性を大きくしている」と懸念した。
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