先月24日、シンクホール(道路陥没)事故が発生したソウル江東区明逸洞(カンドング・ミョンイルトン)デミョン小学校付近の交差点で消防隊員が現場捜索および救助作業を準備している。 [聯合ニュース]
問題は、都市居住者ならいつ誰でも被害者になりかねないという恐怖心を誘発する大型シンクホールだ。最近相次いで発生したソウル・京畿(キョンギ)・釜山(プサン)の事例はすべて地下掘削工事と関係がある。トンネル工事の切羽上部または開削工事の隣接道路で発生した。
例えば先月、ソウル江東区明逸洞(カンドング・ミョンイルトン)デミョン小学校付近の交差点で深さ地下11メートル、直径7メートルのトンネルを掘削するソウル都市鉄道9号線延長工事現場で、トンネル切羽の上の道路にシンクホール(直径20メートル、深さ18メートル)が発生し、走行中のバイクが巻き込まれて1人が死亡、1人が軽傷を負った。釜山都市鉄道沙上(ササン)下端(ハダン)線地下掘削工事現場周辺では過去2年間に14回も大小のシンクホールが発生した。
ところが政府が提示する「地表透過レーダー(GPR)」’探査は地表面下2メートルの深さの空洞に限り確認することができる。これよりも深い掘削工事による大型シンクホールを確認するのは難しい。大型シンクホールはなぜ、どこで発生するかを把握し、発生するしかない構造的な問題を解決してこそ根本的な予防が可能だ。
まず、地質の特性に合う土木工事が重要だ。各地域の地質分布と岩種の特性を理解する必要がある。ソウルを例に挙げると、変成岩(ソウル面積の64%)と火成岩(36%)が分布する。地下の熱・圧力と構造的な運動による変成作用で形成された変成岩は、火成岩より地質が複雑で脆弱な断層破砕帯を含む場合が多い。
この破砕帯には地下水が容易に浸透するため、深い地中まで風化と熱水変質が激しい。不透水層である断層粘土が発達し、よく滑り、不規則な地下水分布でトンネル工事中に崩壊事故の危険性が高い。したがって調査・設計・施工段階でこうした特徴をよく考慮しなければならない。
1991ー92年のソウル地下鉄工事中に5回の大型シンクホール事故があったが、すべて変成岩で発生した。これらの事故はほとんどの場合、断層破砕帯と関連があった。最近のソウル延禧洞(ヨンヒドン)と明逸洞の事故、光明市(クァンミョンシ)で発生したシンクホールもすべて変成岩地質だ。脆弱な土砂と風化岩が局部的に深く発達した共通点から見ると、これら地域はすべて不規則に分布する不良な岩質の断層破砕と疑われる。
釜山は山と海が近い地形だ。シンクホール事故が頻繁な釜山沙上区は山麓の谷に沿って堆積してきた扇状地形だ。洛東江(ナクトンガン)上下堆積層が交互に20メートルの厚さの砂質(透水層)と粘土(不透水層)を形成した非常に複雑で脆弱な地質だ。したがってこうした地質に合う精密な各工法を併行しながら開削工事をしなければシンクホールが頻繁に発生するしかない。
2つ目、トンネル設計と国内の施工現実を理解しなければならない。都心地トンネル工事を設計する際、計画路線に沿って約100メートル間隔でボーリング調査を遂行するが、その間の地質状態は推定設計する。この限界を補完するために、トンネル工事では地質専門家が監理会社と施工会社に常時勤務しながら地質の状態を確認して随時適合した補強対策を提示しなければならない。変成岩地域ではさらに経験豊富な地質専門家が必要となる。ところがトンネル切羽に対する地質調査を外注計測技術者が計測と併行する場合が多いだけに改善が求められる。
3つ目、今の構造では大型シンクホールを防ぐのは難しい。韓国の土木技術は世界最高レベルだが、設計と施工時に地質調査が徹底されない傾向があり、工事費と工事期間の問題で各分野の技術者が十分な時間を持って地質の特性に合う正確な設計と補強工法を適用することができないという限界がある。したがって高級技術者が徹底して仕事ができる環境を用意することが要求される。
イ・スゴン/元ソウル市立大教授
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