LNGを運送する船舶。[写真 ロイター=聯合ニュース]
関連事案に詳しい情報筋は15日、「通商専門家を自負する韓代行はトランプ政権との交渉で顕著な成果を出すという意志が強い」と話した。韓代行が8日のトランプ大統領との電話で、造船業、米国産液化天然ガス(LNG)の大量購買、アラスカパイプライン合弁事業などトランプ大統領の関心を引くほどの「ショッピングリスト」を先制的に投じたのは悪くないという評価が出ている。翌日、トランプ大統領は「立派な合意の輪郭と可能性がある」と語った。韓国が日本・英国・オーストラリア・インドなど米国の明確な同盟・友邦と共に5カ国の「最優先交渉目標(top targets)」に入った点も負担を減らす要素だ。
◆米国、韓国にパイプラインなど投資圧力
韓米は来週、安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源部長官らを中心とする高官級交渉を控えている。特に「アラスカLNGプロジェクト」は今回の関税交渉の最初の議題だ。今週から実務級のテレビ会議が始まり、崔南浩(チェ・ナムホ)産業部第2次官もアラスカ現地出張を検討中だ。米国は約1300キロにのぼるパイプラインと液化プラントなど設備の構築に韓国が投資し、その後ここで生産するLNGを韓国が長期購買することを望む。
韓国は悩みが大きい。単にアラスカ産LNGを購入するカードは韓国にとって容易な選択肢だ。エネルギー供給先多角化と需給安定の側面でプラスになる。対米貿易収支の不均衡を改善する効果もある。予想通りなら2030年ごろLNGの生産が可能だが、いま先に契約するオプションもある。匿名を求めた通商当局の関係者は「現在の価格水準と見通しからは韓国に大きなマイナスにならないと分析される」と話した。
アラスカ投資を放棄してLNGの購買だけをする場合、関税は大きく下がらない可能性がある。しかしアラスカプロジェクトはパイプライン建設など総事業費だけで390億ー440億ドル(約5兆5800億-5兆3000億円)規模の超大型プロジェクトであるうえ不確実性が高い。年中凍結している永久凍土層であり基礎工事も難しい。特に台湾は先月すでに米国側とアラスカLNG購買、投資意向書(LOI)を締結して一歩先を進む姿であり、負担が大きい。15日、国会に出席した安徳根長官は「LNG問題に対する政府の立場は何も決まっていない」と述べた。
米国がアラスカ投資を関税・防衛費などと「パッケージディール」で交渉することを望むのも韓国には負担だ。トランプ大統領が言及した「ワンストップショッピング」交渉は前例がないだけでなく、他国との交渉とも差がある。
しかし関税を貿易・通商だけでなく政治・外交・安保まで万能の宝剣のように扱うトランプ大統領が在韓米軍まで交渉手段化する可能性も排除できない。トランプ大統領は9日(現地時間)、海外駐留米軍について「貿易とは関係ない」と認めながらも「一つのパッケージにすべて入れるのが合理的ですっきりするので交渉の一部にする」と述べた。その前日には「米国は韓国に大規模な軍事保護費用を支払っている」とし、韓国に強い圧力を加えた直後だった。
◆政府関係者「台湾・日本との連携も方法」
外交関係者の一部では、どうせ増額する防衛費ならトランプ大統領の言葉通り「パッケージディール」がむしろ現実的だという声もある。西江大国際大学院のキム・ジェチョン教授は「トランプ大統領は通商懸案とは関係がないイシューまで一度に交渉テーブルに載せて一度に取引しようというスタイルであり、韓国が『事案別にしよう』と話しても通じないだろう」とし「防衛費の増額は避けにくいだけに、我々が先に積極的に協議に入り、米国の戦術核現代化に投資し、その見返りとして核防御力の強化など前向きな案を考慮してみるべき」と話した。
防衛費増額を受け入れて実益を得ることに集中すべきという声もある。慶南大極東問題研究所のイ・ビョンチョル教授は「韓国が防衛費増額以外に関税引き下げカードがない状況で、変えられない部分は受け入れる必要がある」とし「大きく与えて大きく受ける果敢な対応も必要だ」と述べた。
しかし政府内では依然として慎重論が優勢だ。通商当局の関係者は「日本・台湾などの交渉結果を見守る必要がある」とし「これらの国と共に投資してリスクを減らすことも方法」と説明した。崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官は15日、政府の対米関税交渉に関連し「防衛費に関心が集まっていることは知っているが、現在準備している議題に防衛費は含まれない」と明らかにした。
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