テスラのイーロン・マスクCEO(左)とトランプ米大統領。[写真 ロイター=聯合ニュース]
ウォール・ストリート・ジャーナルは11日、米財務省が公開する1日財務諸表を分析し、1月20日のトランプ大統領就任後に米連邦政府が2兆ドル(約285兆円)に迫る連邦予算を支出したと伝えた。これはバイデン政権当時の前年同期より1540億ドル多い数値だ。
トランプ大統領はテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)を迎え入れて政府効率化省(DOGE)を立ち上げ、政府支出を減らすために連邦機関の大規模なリストラに出たが、実際の数値だけではまだトランプ政策の効果を感じにくいという話だ。
トランプ大統領が大統領選挙当時に社会保障、メディケア(高齢者医療支援)とメディケイド(低所得層医療支援)などの固定支出の削減を公約に掲げたが、共和党支持勢力が強い農村、低所得層、高齢層の投票者のため関連予算に手を出せないのも原因に挙げられる。同紙は「社会保障、メディケア、メディケイドなどに使われた予算だけで2024年度の連邦支出6兆8830億ドルの43%に達する」と指摘した。
国の負債とそれにともなう利子費用が増加傾向にある状況でトランプ大統領が触発した「関税戦争」が負担をさらに悪化させているという指摘もある。経済学者を対象にした同紙の四半期別アンケート調査によると、米国の10-12月期の経済成長率は0.8%にとどまると予想された。1月の調査時には2%と予想されたが、関税戦争の余波で見通しが落ち込んだのだ。これと関連し同紙は「コロナ禍以降で最悪の数値」と伝えた。
こうした状況で米国の経済成長を牽引した科学者がトランプ政権の大学と研究機関の予算削減により働き口と支援金を失い、欧州行きを模索しているという報道も出てきた。ロイター通信によると、フランスのエクスマルセイユ大学、ベルギーのブリュッセル自由大学、ドイツのアレクサンダー・フォン・フンボルト財団、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンなどは研究職と予算を用意して米国から科学者を誘致するために競争している。
米国内の反発も続いている。トランプ政権の支援削減に反発したハーバード大学教授は学問と表現の自由侵害を理由に米政府を相手取りマサチューセッツ州連邦裁判所に訴訟を提起した。
米国の外国人入国拒否や拘禁で欧州人の米国旅行もやはり急減している。先月米国で1泊以上宿泊した西欧からの訪問者数は前年同期比17%減少したとフィナンシャル・タイムズは伝えた。米国の国内総生産(GDP)で観光業は2.5%を占め、米国を訪問した海外訪問客が観光関連商品やサービスに支出した金額は昨年だけで2530億ドルに達する。このためこうした現象が長期化する場合、米国の観光産業に致命的な危機が迫るだろうとの懸念が出ている。
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