現代自動車がインド市場に特化して販売する小型SUV「クレタ」。[写真 現代自動車]
現代自動車・起亜が最近最も力を入れているのはインドだ。インド自動車工業協会(SIAM)によると、1-3月期の販売台数は現代自動車が15万3550台、起亜が7万5576台の22万9126台だった。前年同期より1.5%増加した数値だ。スズキが多くの株式を持つマルチスズキがシェア1位となる中で現代自動車は2位、起亜は6位となった。
現地化戦略が奏功した。小型スポーツ多目的車(SUV)の現代自動車「クレタ」が4万8449台、起亜「ソネット」が2万2497台など、現地特化モデルが販売を牽引した。インドは都心部の道路が狭く渋滞が激しいが、小型SUVは回転半径が小さく運転が容易だ。車両価格も基本モデル基準でクレタが約1900万ウォン(約191万円)、ソネットが約1300万ウォンで、1人当たり購買力指数(PPP)が1万1112ドル(約158万円)のインド人には比較的合理的な価格だ。
現代自動車・起亜は現地での増産も推進している。2023年にインド・マハーラーシュトラ州プネのゼネラルモーターズ(GM)工場を買収し年産20万台以上の規模で増築してだ。年産76万台の現代自動車チェンナイ工場、27万台の起亜アナンタプル工場と合わせ年産140万台体制を構築する計画だ。
このようにインド市場に力を入れるのは市場拡大の可能性が大きいためだ。昨年のインドの自動車販売台数は523万台で中国の3144万台、米国の1590万台に次いで世界3位だ。産業研究院のチョ・チョル選任研究委員は「現地企業と激しい競争を繰り広げなければならない中国と違い、インドでは現地企業に対し現代自動車・起亜が技術的優位を占めている。トランプ関税など貿易紛争が長期化するのに備えて安定した販売先であるインドを攻略しポートフォリオを多角化しようとするもの」と解釈した。
現代自動車・起亜はロシアにも再び目を向けている。起亜は9日、「2025CEOインベストデー」で2030年の販売目標台数419万台にロシアでの販売分5万台を含めた。ロシアとウクライナの戦争により昨年の中長期目標で除外されたロシアが今年再び含まれたのだ。米トランプ政権発足後に終戦議論が出てロシア再進出に備えようとする動きとの見方が出ている。
戦争勃発前までロシアは現代自動車・起亜の主要販売先だった。2021年に現代自動車サンクトペテルブルク工場で「ソラリス」(アクセント)、起亜「リオ」(プライド)など合計23万3804台が生産・販売された。同年韓国で生産された自動車9万1212台がロシアに輸出され、米国、カナダに次いで3番目に多い輸出規模だった。
だが2022年2月に勃発したロシアとウクライナの戦争にともなうロシアへの経済制裁で資金と部品調達が閉ざされ、サンクトペテルブルク工場は同年3月に生産を中断した。工場は2年近く遊休状態で、現代自動車は2023年12月にロシアの自動車グループAGRの親会社アートファイナンスに1万ルーブル(約1万6878円)で工場を売却した。
2年以内に工場を買い戻すことができる「バイバック」の条件が含まれていたが、最近の終戦の動きに加えロシアの自動車市場が回復しており現代自動車が工場再取得に出るとの見通しもある。韓国自動車モビリティ協会(KAMA)によると、昨年のロシアの自動車販売台数は183万3852台で2023年の131万7440台より39.2%増加した。
ただ、韓国と欧州の自動車メーカーがロシアから撤収した間に中国の自動車メーカーが急速にシェアを伸ばした点は難題といえる。2021年に12万1481台だった中国の対ロシア自動車輸出は昨年116万9990台で10倍近く増えた。KAMAは最近の報告書で「韓国ブランドに対する認知度が高く、現地でも韓国メーカーの復帰が注目されている。中国中心に再編された供給網と市場構図を考慮すると、現代自動車・起亜の市場再進出は容易でないかもしれない」と指摘した。
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