米国の相互関税が発効し韓国総合株価指数(KOSPI)2300ポイントを下回った9日午後、ソウルのハナ銀行本店ディーリングルームの電光掲示板に証券市場指標が表示されている。この日KOSPIは前営業日比1.74%安の2293.70、KOSDAQは2.29%安の643.39で取引を終えた。[写真 ニュース1]
中国が輸出品の関税負担を減らすために人民元切り下げに出て関税戦争が為替戦争に飛び火する兆しまでふくらんだ。人民元安はウォン安を伴うことが多い。海外市場で中国製品と競争する韓国の輸出品の価格競争力を落とす要因でもある。そうでなくても米国が輸出を増やすためにドル相場を下げる「第2のプラザ合意」を圧迫する可能性が出ている中で起きたものでひやひやする。昨日のウォン相場は1ドル=1484.10ウォンとなり金融危機以降で最安値水準を記録した。
関税戦争前にすでに気力の尽きた韓国経済はいま行き着くところまで行き着く危機に陥った。今年の韓国経済の見通しはますます冷え込んでいる。アジア開発銀行(ADB)はきのう今年の韓国の成長見通しを4カ月ぶりに0.5ポイント引き下げ1.5%に下方修正した。さらにJPモルガンが0.7%など一部投資銀行は0%台の成長を予想した。11月に予定された韓国のFTSE世界国債指数(WGBI)組み入れは来年4月に延期された。先進国の資金が流入するという期待感に冷や水を浴びせた。韓国国内の政治不安とは関係ないと韓国政府は説明するが後味はすっきりしない。
第2次トランプ政権発足後で初めて韓悳洙(ハン・ドクス)大統領代行とトランプ大統領が一昨日夕方に電話で会談した。遅くなったが幸いだ。訪米中である鄭仁教(チョン・インギョ)通商交渉本部長が関税協議に入ったが閣僚レベルの交渉は限界がある。欧州委員会のシェフショビッチ委員(通商担当)は米通商代表部(USTR)のグリア代表、ラトニック米商務長官と会ったが手ぶらで帰国した。これら長官に委任された交渉権限がなく最終決定権はトランプ大統領にだけあるためだ。
トランプ大統領との交渉力を高めるためには韓国政府と政界・企業が声をそろえることが重要だ。過去に米国と通商交渉をした官僚らは後から銃を撃たれるのが最も辛かった吐露する。国境の前で政争はやめるべきという話は余計な話ではない。米国との交渉内容を政界と国民に常に透明に公開したメキシコの事例と、米国の無礼な攻撃を国民統合の契機にしたカナダの事例をしっかり参考にし、両国のように自由貿易協定(FTA)の枠組みの中で対応する案を模索すれば良い。韓国国民の知恵と力を総動員しなければ現在の危機を乗り越えるのは難しい。
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