マスク氏(左)とトランプ大統領 [ロイター=聯合ニュース]
マスク氏は5日(現地時間)、イタリア極右政党「同盟(Lega)」行事の画像演説で「欧州と米国が無関税という理想的な状況に進み、実質的な欧州と北米の自由貿易地帯創出に合意することを望む」と述べた。CNNなど現地メディアはこれに対し、マスク氏がトランプ大統領の関税政策に反する見解を表出したと解釈している。
トランプ大統領は「世の中で最も美しい言葉は関税」と話すほど関税政策を好む。トランプ大統領は2日、米国に輸入される世界の大部分の国の製品に10%以上の基本関税をかけ、主要貿易国には国別の相互関税(10%プラスアルファ)を課す計画を発表した。欧州連合(EU)製品に対する関税は20%に決まった。
マスク氏はトランプ大統領の関税発表以降、沈黙を続けていた。しかしこの日、トランプ大統領の政策に反すると解釈される公開発言を続けた。
マスク氏はこの日、トランプ大統領の「関税策士」ナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)に向けたコメントもした。あるネットユーザーがX(旧ツイッター)にナバロ上級顧問のインタビュー映像とともに「ナバロ氏はハーバード大経済学博士学位を持つ」と投稿すると、マスク氏は「ハーバード大経済学博士は良いものではなく悪いものだ。自我が頭脳より大きいという問題に帰結する」と書いた。
米政治専門メディアのポリティコはこうした発言の背景として、トランプ大統領の関税発表でマスク氏の事業が打撃を受けた点を挙げた。トランプ大統領の発表の影響で3日、他の主要企業と同じくテスラの株価も急落し、マスク氏の個人資産は110億ドル(約1兆6000億円)も減少した。また、米中関税戦争で中国内の対米世論が悪化すればテスラの売上が減少すると予想される。
トランプ政権とマスク氏の間の雑音は相次いで出ている。4日のウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、トランプ大統領は先月初め、複数の長官がマスク氏の一方的な公務員解雇に不満を吐露し、スージー・ワイルズ大統領首席秘書官を呼んで「マスク氏を管理する必要がある」と指示した。トランプ大統領はマスク氏の情熱を高く評価するが、内閣の不満も理解するという点を明確にした。ワイルズ首席秘書官はその後、マスク氏と週2回の個別会議をしていると、WSJは伝えた。
これに先立ち2日にはトランプ大統領が側近にマスク氏が政府効率化省(DOGE)トップから近いうちに退くと話したという報道があった。ホワイトハウスとマスク氏はこれを否認したが、マスク氏が早期辞任する可能性も排除できない状況だ。マスク氏の相次ぐ突出行動とマスク氏に対する世論の悪化がトランプ大統領の政治的負担につながっているという分析だ。
ただ、マスク氏が政府を離れてもトランプ氏と友好的な関係を維持する可能性が高いという見方もある。ブルームバーグ通信によると、マスク氏の宇宙企業スペースXは4日、59億ドル規模の米国防総省衛星打ち上げ契約を受注した。今回の契約はマスク氏のロケット企業と米政府間の関係が深まっていることを見せていると、メディアは報じた。
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