パナマ運河の資料写真[Pixabay]
海運業界によると、中国の国家市場管理監督総局(SAMR)は28日、香港系企業CKハチソンホールディングスがブラックロックにパナマ港湾会社(PPC)の株式90%を売却する取引に対して調査する方針を明らかにした。PPCはパナマ運河の5港のうち2港(バルボア港・クリストバル港)で物流処理事業をしている。SAMRはホームページで「反独占部署は(今回の取引に)注目している。法に基づいて審査し、市場の公正競争を保護し、社会の公共利益を守る」と明らかにした。これを受け、CKハチソンホールディングスとブラックロックは2日に予定されていた最終契約締結を見送ることにした。
グローバル海運業界は当初、ブラックロックのPPC買収を背景にトランプ米大統領の意向があると見なした。トランプ大統領が1月の就任演説で「中国がパナマ運河を運営している」とし「我々は運河を中国に与えておらず、それを取り戻す」と述べた。年間1万4000隻の船舶が通過するパナマ運河は全世界海上貿易量の3%を占める核心物流施設だ。米国はこの運河を通じて昨年1億5706万トンの貨物を運送し、中国(4504万トン)・日本(3073万トン)・韓国(1967万トン)が順に運送量上位に名前を連ねる。パナマ運河は米国の物流に大きな影響を及ぼすだけに、トランプ大統領は中国の影響力を排除するべきだという考えを示したのだ。
パナマ運河をめぐる米中の葛藤が深まる中、韓国海運業界は物流量の減少を懸念している。両国が相手国の海運サービスに規制を加えれば物流費用が高くなり物流量が減るからだ。米通商代表部(USTR)は2月、米国に入港する中国船会社の船舶と中国産の船舶にそれぞれ100万ドル(約1億5000万円)、150万ドルの手数料を検討すると明らかにした。
海運業界の関係者は「PPCの主が変わること自体よりも、米中の葛藤による不確実性増加と海運産業の萎縮が大きな問題」とし「トランプ政権の保護貿易政策でグローバル物流量が減少する状況であり、2国間の葛藤が強く懸念される」と話した。グローバル海上運賃を示す上海コンテナ運賃指数(SCFI)は1月第1週(2505.2)から3月21日(1292.8)まで10週連続で下落した。
ただ、今回の葛藤が両国間の全面戦争には拡大しないという見方もある。中国が反独占調査カードを活用してPPCの売却を認めるものの、ブラックロックが中国企業を差別しないよう現在の運賃体系を維持する「条件付き承認」シナリオが言及されている。USTRの手数料も米国内の物価上昇を招くおそれがあるだけに現実的に難しいという指摘もある。
韓国輸出入銀行海外経済研究所のヤン・ジョンソ首席研究員は「中国産船舶への規制が施行されれば米国に入る船が制限され、米国航路の運賃と物流費用が増える一方、他の航路に船舶が集まり正反対の現象が生じるはず」とし「このような規制を米国が実際に実行するよりも、カードを握りながら他の交渉で優位に立つのが合理的」と分析した。
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