慶尚北道義城（ウィソン）と慶尚南道山清（サンチョン）などで発生した山火事の被害が深刻化している。強風のため山火事が広がり、被害面積・規模が膨らんでいる。すでに２０人を超えた死亡者の大半は６０歳以上の高齢者であり、短時間に火が広がったため避難できず被害にあったという。韓悳洙（ハン・ドクス）大統領権限代行は昨日の緊急談話で「歴代最悪の山火事に動員可能なすべての人員と装備で対応しているが、状況は尋常でない」とし「今まで経験したことがない山火事の被害が憂慮される」と述べた。現場で鎮火作業をしたヘリコプターが墜落し、操縦士１人が死亡するという残念な事故もあった。

今回の山火事では発生から拡大まで多くの問題点が表れた。発端は入山客の不注意による失火と推定される。山林庁など政府機関と自治体は未熟な対処で早期に火を消すことができず、被害を膨らませた。春の乾燥した気候と強風が早期鎮火を難しくする要因だったが、そのような状況を予想して備えていなかった責任が重大だ。現場の作業員と装備も不足していた。鎮火隊員の多数が６０歳以上の高齢者であり、支給された装備も大火災には機能しなかった。若者が少ない農村地域の実情を考慮しても至急に改善策を用意する必要がある。

いま急がれるのは一刻も早く火を消すことだ。きょう全国に雨が降るという予報があるのは幸いだが、降雨量が鎮火に十分でない可能性が高い。被害が増えないよう政府と自治体は可能な力を総動員して鎮火することを望む。また入山客や山間地域の住民は山火事の予防に格別の注意を払うことが求められる。そうでなくても鎮火の力量が不足している状況でさらなる山火事が発生することはあってはならない。


今回の山火事が落ち着けば、すぐに政府と自治体は総体的な反省と再点検を通じて山火事対応体系を完全に見直すべきだろう。異常気候現象が増え、春の大規模な山火事が「ニューノーマル」として定着する可能性が高い。乾燥した気候が続く状況では小さな火もいつでも大規模災害につながる危険がある。専門の人員と装備を拡充し、間伐や林道拡充などを通して迅速に山火事に対応できる体系を備えなければいけない。中小型ヘリコプターでは早期鎮火に限界があるだけに、一度に多くの水を運べる大型消防ヘリコプターの導入も急がれる。山火事による被害が予想される山間地域の高齢者が安全に避難できるよう早期警報と避難システムも補完が必要だ。山火事予防と被害復旧に与野党はない。政界が知恵を合わせて必要なところに積極的に予算と人員を配分することを願う。