尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領に対する憲法裁判所の弾劾審判が長期化し、弾劾賛否陣営の対立と葛藤が深刻になっている。盧武鉉（ノ・ムヒョン）、朴槿恵（パク・クネ）元大統領と比べて審理期間が長くなり、憲法裁の決定以降の状況に対する懸念が強まっている。１２月３日の非常戒厳宣言と尹大統領弾劾訴追以降、わが国は正常な国政運営が難しくなった状況だ。急変する国際情勢に機敏に対応しなければならない局面だが、日々激しくなる与野党の対立と国論分裂が国の足かせになっている。近く出てくる憲法裁の宣告をきっかけに急いで混乱を収拾し、国政が本来の姿を取り戻すべきだが、現在は破裂音がさらに強まるという心配が多い。

憲法裁の宣告が近づいているだけに、政界は一日も早く冷静な姿を取り戻し、国論を再結集する力を発揮しなければならない。そのためには、憲法裁が尹大統領の弾劾に対して棄却しようと認容しようと、すべての国民が結果を受け入れるという確信が必要だ。与野党の指導部が最近、相次いで憲法裁の決定に承服すると発言したのは、こうした点で幸いだ。与党・国民の力の権性東（クォン・ソンドン）院内代表は「党の公式立場は憲法裁の判断結果に承服するというもの」と述べ、最大野党・共に民主党の朴賛大（パク・チャンデ）院内代表も「憲法裁の判断を尊重するのは政治家として当然だ」と明らかにした。

しかし実際、核心当事者の尹大統領はまだ憲法裁の決定に承服するという約束をしていない。尹大統領は先月２５日、憲法裁弾劾審判の最後陳述で「忠実な審理に努める憲法裁判官に感謝する」としながらも、裁判官の決定に承服するという意思を明らかにしなかった。


憲法裁の決定が予想より遅れ、李在明（イ・ジェミョン）民主党代表の明確な承服約束にも関心が向かう。李代表はユーチューブで承服の意思を示唆したが、国民に確信を与えるには十分でない。最近、弾劾賛否場外集会がさらに激しくなり、政治家殺害脅迫まで出てくるのは、このように無責任な態度を見せる与野党首脳部の責任が大きい。

単独審議制である憲法裁の決定は不服とする方法がない。自身の立場でいくら納得できなくても裁判官の決定を尊重し、混乱の収拾をするのが政治指導者の道理だ。与野党指導部が国民の前で明確な承服の意思を明らかにしなければならない理由だ。特に尹大統領は混乱の原因を提供した当事者として誰よりも憲法裁の決定を尊重する意思を明確にするべきだが、弁護人の発言以外には明確な立場表明がない。決定の日が近づくが、承服の意思を明らかにしなければ支持者には不服のメッセージと解釈される可能性が高い。これは憲法裁の決定後、さらに深刻な国論分裂を招くことになる。尹大統領と与野党指導部は弾劾審判の台風が過ぎた後、国を正常化する準備をする必要がある。その最初の段階が憲法裁の決定に承服するという約束だ。