2月25日、ソウル鍾路区の憲法裁判所で開かれた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾審判11次弁論で最終意見陳述をした尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領 [写真 憲法裁]
即時抗告(裁判所決定後7日以内)を巡って検察の特別捜査本部〔本部長・朴世鉉(パク・セヒョン)ソウル高等検察庁長〕と大検察庁(以下、大検)間の意見の溝が埋まらなかったためだ。
沈雨廷(シム・ウジョン)検察総長は7日、裁判所の拘束取り消し決定直後、李進東(イ・ジンドン)大検次長と参謀グループである大検部長団を集めて対応について議論した。この席では拘束取り消しに即時抗告で従わないのは憲法違反論争が生じかねない点などを勘案し、尹大統領を釈放しなければならないという方向で共感が形成された。特に2012年憲法裁判所が裁判所の拘束執行停止決定に対して検事が即時抗告して被疑者・被告人の拘束状態が持続するのは違憲だと判断したのが主な考慮事項になった。
刑事訴訟法上、拘束取り消し(第97条)に対しては即時抗告が規定されているが、憲法裁判所の趣旨を考慮すると、これも違憲素地があるということだ。
だが、尹大統領を起訴した特別捜査本部からの反発は激しかった。特に特別捜査本部は、裁判所が拘束取り消しを決めて拘束前被疑者審問(令状実質審査)のために捜査書類が裁判所に提出された期間を「日」単位ではなく「時間」単位で計算し、これを根拠に検察の起訴が拘束期間が過ぎた時点に行われたと見たことは納得しがたいと反論した。
8日未明まで続いた大検と捜査チーム間の異見が最後まで埋まらないため、この日午前まで再議論が続き、結局沈総長は釈放指揮を直接指示した。ただし検察は尹大統領の釈放を指揮するものの、以降の本案裁判で「拘束期間の不算入期間を『日』ではなく『時間』で算定するべきだという裁判所の判断は不当」という意見を提出することにした。
尹大統領釈放を指揮しながら即時抗告を断念した検察は普通抗告もしない見通しだ。複数の検察関係者は「大検幹部会議で一般抗告もしないことでまとまった」とし「刑事訴訟法の規定や注釈書などを見ると、即時抗告が適用される規定には普通抗告を適用できないと見ることが主流の見解のため」と伝えた。
検察が即時抗告を断念したことを巡り、法曹界の一部では「見逃し対応」という批判も出ている。大検は即時抗告制度の違憲素地を尹大統領釈放指揮の理由に挙げたが、2015年憲法裁判所の「拘束執行停止条項即時抗告」違憲決定による刑事訴訟法改正当時、法務部は「拘束取り消し条項に適用される即時抗告は違憲素地がない」という立場を明らかにしたことがある。現大統領室の民情首席である金周賢(キム・ジュヒョン)当時法務部次官は2015年6月に国会法制司法委員会法案審査小委員会に出席して「裁判所の拘束取り消し決定に対しては、拘束執行停止決定とは違い、理由が一時的なものではなく被告人の出席を保障するだけの条件を課すこともできないので憲法裁判所の決定が拘束取り消しにもそのまま妥当だと見ることはできない」と発言した。
高麗(コリョ)大学法学専門大学院の金善擇(キム・ソンテク)教授は「検察が10年前とは全く違う論理を展開していて、これは自己矛盾だ」と批判した。続けて「違憲決定が下された拘束執行停止と拘束取り消しは違ったものだが、これを検察が恣意的に解釈した」と付け加えた。
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