英国でロシアの情報機関に向け活動した容疑で起訴されたブルガリア人の男女３人が有罪評決を受けた。

ロイター通信とＢＢＣによると、ロンドン中央刑事裁判所の陪審員団はこの日、ブルガリア国籍のカトリン・イワノワ、ワーニャ・ガベロワ、ティホミル・イワンチェフの３人の被告がロシアに抱き込まれスパイ活動を行った容疑を有罪と評決した。

検察によると、３人は２０２０～２０２３年に欧州各地でロシアに批判的な記者や活動家らを監視して拉致を謀議するなどスパイ活動を行った容疑を受けている。


３人が活動したスパイ組織は調査報道メディアのベリングキャットでロシアに批判的な報道をしてきた記者クリスト・グロゼフ氏を監視して拉致・殺害を謀議したとされる。

ロシアを主に扱うメディア、インサイダーの記者ロマン・ドブロホトフ氏、ロシアとカザフスタンの関係を批判してきたカザフスタンの元政治家ベルゲイ・リスカリエフ氏も監視したと調査された。

ウクライナ兵が訓練を受けていたドイツ国内の米軍基地を対象にもスパイ活動を行った。また、在英カザフスタン大使館でフェイクデモを計画したことも明らかになった。

裁判所に提出されたメッセージなどを見ると、ロシアにいると推定されるオーストリア国籍のヤン・マルサレク容疑者がブルガリア人３人にロシアの情報機関に代わり指令を下したとみられる。

マルサレク容疑者は会計不正スキャンダルを起こして破産したドイツの電子決済会社ワイヤーカードの最高執行責任者（ＣＯＯ）を務めた人物で、２０１４年にロシアの情報機関に抱き込まれたと推定される。

マルサレク容疑者はロシア上部から受けた指示を英国内のリーダー格であるオルリン・ルセフ被告に伝達した。ルセフ被告は他の組織員２人とともに今回の裁判が始まる前にスパイ容疑に対し有罪を認めた。

この日有罪評決を受けた３人は自分たちがスパイ活動にかかわっていたことを知らなかったと主張した。

３人は５月に予定された宣告公判で最高１４年の懲役刑を宣告される可能性がある。

ロンドン警察庁のドミニク・マーフィー対テロ本部長は取材陣に、この組織が自身の過去２０年以上にわたり対テロ捜査をしながら最も大きな規模の組織だとし、「ロシアに代わってほとんど産業的規模でなされた情報活動だ」と話した。

彼は３人が使った装備を見れば「スパイ小説にでも出てきそうなもの」と話した。３人は携帯電話２２１台、ＳＩＭカード４９５個、ドローン１１台、携帯電話データ抽出と無線活動盗聴機器などを使ったと調査された。