イーロン・マスク氏
急速な技術革新で莫大な富を蓄積したビッグテックの大物を筆頭に、既存の億万長者と差別化される「超富裕層」が形成されていると同紙は分析した。
スーパービリオネア1位はテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)だ。彼の財産は4194億ドルだ。
アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が2638億ドル、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)のベルナール・アルノー会長が2389億ドルと続いた。
このほかオラクルのラリー・エリソン会長が2370億ドル、メタのマーク・ザッカーバーグCEOが2208億ドル、グーグル親会社アルファベットのセルゲイ・ブリン共同創業者が1605億ドル、スティーブ・バルマー元マイクロソフトCEOが1574億ドル、バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット会長が1542億ドルとなった。
13位には1084億ドルでエヌビディアのジェンスン・フアンCEOが、14位には1060億ドルでマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が名前を上げた。
スーパービリオネア24人の総資産は3兆3000億ドルで、フランスの名目国内総生産(GDP)に匹敵する。これら24人の資産総額は世界のビリオネア3000人の財産のうち16%を占める規模でもある。
また、24人のうち16人はスーパービリオネアの基準の2倍である1000億ドル以上の財産を保有していた。
同紙はこうした特徴はスーパービリオネアという従来の富裕層の概念を上回る新しい次元の集団が形成されていることを示すと分析した。アルトラータの分析責任者マヤ・イムバーグ氏は「いまやスーパービリオネア集団内部でも格差が生じている」と説明した。
スーパービリオネアの主流は「技術発展で大金を稼いだ米国の男性IT企業家」に要約できる。上位10人のうち6人がITテクノロジー関連企業家だった。24人のうち女性は3人にすぎない。米国外に本拠地を置いているのは7人だけだ。
彼らはまた、世界初の億万長者であるスタンダード・オイルのジョン・ロックフェラーや「鉄鋼王」アンドリュー・カーネギーなど19~20世紀の億万長者がインフラ産業を基盤に莫大な富を得たのと明確に差別化される。
過去の億万長者の財産が会社の有形資産を中心に計算されたのと違いスーパービリオネアの財産規模は会社の未来価値と連動された株式にかかっているケースが多い。彼らの財産は変動性が非常に大きく、株式の状況によって数百億ドル単位で上下することも普通だ。
「富の世襲」ではなく自力で財産を作った点も彼らの特徴に挙げられた。
ノーベル経済学賞受賞者である米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ客員教授は「スタンダード・オイルに対しては反独占法がうまく作動しているが、テック分野ではそうではない。また、彼らは企業次元でも個人の次元でも良い商品を作ることより税金を回避するのがうまい」と説明した。IT分野の緩い法の網を利用して独占的に莫大な富を蓄積したと指摘される。スティグリッツ教授は「彼らは平凡な米国人とは最初から別の世界に生きている。こうした二極化は社会が作動する基盤である連帯感を低下させるだろう」と診断した。
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