2018年9月20日、白頭山(ペクドゥサン)頂上の将軍峰(チャングンボン)を訪れた北朝鮮の金正恩国務委員長(右)と李雪主夫人。 平壌写真共同取材団
国家情報院は24日、中央日報の関連質問に対し「現在まで李雪主氏の身上に特に異常兆候は把握されていない」と明らかにした。統一部によると、李雪主氏の最後の公開活動は、金正恩委員長が出席した中、昨年1月1日に平壌(ピョンヤン)5・1競技場で開催された「2024年新年慶祝大公演」を娘のキム・ジュエと観覧した時だ。国家情報院の情報分析によると、やむを得ない理由で姿を見せないのではなく、北朝鮮当局があえて李雪主氏を隠しているということだ。
これに関し対北朝鮮情報筋はこの日、中央日報に「李雪主氏は妊娠や出産で公開活動を中断したのではない」と説明した。また「ジュエの下には弟がいると把握している」と話した。
李雪主氏がキム・ジュエのほか4代世襲候補群の息子をすでに産んだうえ、金正恩委員長自身も自分の母が正室夫人でないという点に強い劣等感を抱いているため、重大な事由が発生しない限り李雪主氏の地位が揺らぐ可能性は低いということだ。金正恩委員長が執権初期から李雪主氏を各種首脳会談など公開活動に同行させ、国営メディアを通じてジュエをサポートする姿を演出するのもこうした分析を後押ししている。
こうした状況を考慮すると、釈然とせず長引く李雪主氏の公開活動中断は結局、キム・ジュエのためである可能性が高いという分析を専門家らは出している。李雪主氏の最後の公開活動だった昨年1月の行事当時にも、金正恩委員長と腕を組んで入場して金委員長のすぐ後ろで行事を見守ったのは李雪主氏でなくキム・ジュエだった。
慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「北はジュエを実質的にファーストレディの役割を代行する令嬢として演出している」とし「母の李雪主氏とともに登場すれば似た容貌により視線が分散するのはもちろん、幼い娘としてのイメージが浮き彫りになることを考慮したのだろう」と話した。
特に先代指導者の金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記と同等、または上回るリーダーシップとして認められることを望む金正恩委員長の立場で娘のジュエは有用な宣伝手段となる。住民に慈愛に満ちた父親としてのイメージを抱かせる一方、キム・ジュエに代表される未来世代に安定と繁栄を約束するというメッセージを発信できるからだ。
一部では、気質が激しい金委員長を補佐するには寵愛を受けるキム・ジュエが適しているため当局がジュエを積極的に活用しているという分析もある。統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「基本的に後継者時代の青年将軍のイメージから抜け出し、国父のイメージを住民に刻印させるために娘のジュエを戦略的に活用している」とし「金正恩委員長への忠誠の側面でジュエを公開活動に積極的に参加させるという分析も一部で出ている」と話した。
李雪主氏は咸鏡北道清津(チョンジン)出身で北朝鮮の芸術英才学校として知られる平壌金星第2高等中学校を卒業した。2005年9月には仁川(インチョン)広域市で開催された第16回アジア陸上選手権大会に北側応援団の資格で韓国を訪問した。2009年に金正恩委員長と結婚したと推定され、2012年7月に平壌綾羅(ヌンラ)人民遊園地の現地指導に金正恩委員長と同行しながら初めて対内外に存在を知らせた。
一方、北朝鮮は多国間制裁監視チーム(MSMT)が初の運営委員会(19日)を開いて他国の参加を促したことに反発し、「断固たる行動で強く対応していく」と脅迫した。外務省対外政策室長はこの日発表した談話で「多国間制裁監視チームというものは存在の名分と目的において徹底的に不法で非合法的であり、犯罪的な幽霊集団にすぎない」とし「米国とその追従国家の挑発行為を決して黙過せず、断固たる行動で強く対応していく」と明らかにした。
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