尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領
中央日報は康元沢(カン・ウォンテク)ソウル大政治外交学部教授の「静かな中道は何を望むのか」と題した研究報告書を10日に入手した。東アジア研究院(EAI、院長・孫洌延世大国際学大学院教授)が韓国リサーチに依頼して先月22、23日に成人1514人を対象にウェブサーベイ(web survey)方式の調査を実施した後、康教授がその結果を分析した報告書だ。
今回の研究は前回の大統領選挙で尹大統領を選んだ投票層の理念性向を極右・穏健・中道保守に分けた後、各質問項目で自ら点数を付ける方式で進行された。尹大統領の好感度を0-100点でみる場合、自身が極右保守層と答えた回答者の平均好感度は78.49点だった。半面、穏健保守層は54.42点、中道保守層は34.87点と差が大きかった。極右保守層は依然として尹大統領を支持するレベルの点数だったが、中道保守は落第点に近かった。
尹大統領が主張する戒厳宣言の名分に対する評価も大きく分かれた。報告書は戒厳宣言の原因は「野党の非協力のため」という設問で共感の程度により1-10点の点数を付けた。その結果、極右保守層は8.64点と、尹大統領の認識のように野党の国政妨害のため戒厳が避けられなかったという認識が強かった。一方、穏健保守層は6.89点、中道保守層は5.12点だった。戒厳宣言は「国家の安保と秩序のため」という設問でも、極右保守層は7.87点、穏健保守層は5.79点、中道保守層は3.84点と、極右保守層と中道保守層の評価の差が大きかった。
最近与党の一部で広まっている不正選挙論に対する認識の差も似ていた。尹大統領が当選した2022年の大統領選挙の公正性に対する点数を1-4点(点数が高いほど不公正)で付けた結果、極右保守層は3.06点と不公正という認識が強かった。半面、穏健保守層は2.59点、中道保守層は2.35点だった。
研究報告書はこうした結果について「現状況に対する観点・評価・認識が極右保守とは明確に異なる中道保守集団が存在する」と分析した。仁川大のイ・ジュンハン政治外交学科教授は「先週末の東大邱(トンデグ)駅弾劾反対集会や世論調査を通して尹大統領を支持する極右保守層の声が浮き彫りになっているが、相対的に静かな中道保守層では反対に支持を撤回する離脱現象があるはず」と話した。
報告書は最近強く結集した極右保守層の声が浮き彫りになっているのは、彼らの政治効能感が穏健・中道保守層より大きいためと見なした。極右保守層は自身が政治問題をよく把握していて、政府がすることに影響を与えることができると信じる傾向がさらに強いため、各種集会はもちろん世論調査などにも積極的に参加するということだ。
「私は社会の重要な政治的問題をよく知っている」(1-5点)という設問では、極右保守層(4.38点)、穏健保守層(3.92点)、中道保守層(3.67点)の順に平均点数が高かった。反対に「私は政府に影響を与えるのが難しい」という設問では極右保守層(3.04点)が最も低く、穏健保守層(3.33点)と中道保守層(3.31点)は相対的に高かった。結局、穏健・中道保守層は極右層より自分の影響力が低いと見ているということだ。
大統領選挙で李在明(イ・ジェミョン)共に民主党候補を選んだ回答者を極左・穏健・中道進歩に分けた場合、尹大統領や戒厳事態に対しては進歩層の理念性向による有意味な統計的な差が見られなかった。すべて否定的であるからだ。
しかし好感度の側面では尹大統領に比べると相対的に差は小さいものの似た現象が観察された。極左進歩層の李代表好感度は76.5点で比較的高かったが、穏健進歩層(66.27点)から中道進歩層(51.79点)に向かうほど好感度は低下した。野党側の関係者は「司法リスクを抱える李代表に対しては内部の評価が少なからず分かれると解釈される部分」と話した。徳成女子大のチョ・ジンマン政治学科教授は「結局、大統領選挙ではどの候補にも簡単に支持しないこれら中道層の選択が状況を分けるだろう」という見方を示した。
東アジア研究院(EAI)は11日午後、ソウル鍾路区(チョンノグ)の研究院カンファレンスホールで「戒厳事態と韓国民主主義の危機」「民主主義復元と制度改革方向」というテーマでセミナーおよび討論を開き、関連研究報告書を公開する。
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