韓国水力原子力がスロベニア原発受注計画を中断した。クルシュコ原発全景。[写真 韓国水力原子力]
原発業界などによると、スロベニアのクルシュコ新規原発「JEK2プロジェクト」発注企業である同国の電力会社GENエネルギアは、韓国水力原子力が同プロジェクトの事業妥当性調査に参加しないと通知してきたと明らかにした。このプロジェクトは現在稼動中でのクルシュコ原発1号機近くに最大240万キロワット規模の大型原発1~2基を追加建設する事業だ。事業費は最大20兆ウォン以上と推定される。GENエネルギアは最終入札候補として仏EDFと米ウェスチングハウスを選定したという。
スロベニア原発はこれまで韓国水力原子力が受注に力を入れていたところだ。昨年6月に同社の黄柱鎬(ファン・ジュホ)社長が直接現地入りしてGENをはじめとする現地企業13社と接触し両国の原発協力案を協議した。
原発業界では韓国水力原子力がウェスチングハウスと知的財産権紛争に合意し両社が欧州原発市場に共同進出することにしたが、この影響ではないかとの指摘が出ている。双方は先月妥結した知的財産権交渉の具体的な内容に対して明らかにしていないが、チェコ原発契約が終えられれば欧州の受注はウェスチングハウスが主導し、韓国は中東や東南アジアなどの受注に集中する形で合意したという見方が出ている。
欧州は韓国が狙える最大の原発輸出市場だ。世界原子力協会(WNA)によると中国とロシアを除き昨年末基準で世界で推進されている原発プロジェクトは合計186基だが、このうち約38%の70基がポーランド、ウクライナ、ルーマニアなど欧州の国だ。韓国水力原子力は昨年末にスウェーデンの電力会社が発注した原発建設受注戦からも撤退したという。
ただ韓国水力原子力はウェスチングハウスとの合意と今回のスロベニア原発入札の件は関係がないという立場だ。合わせて韓国水力原子力は欧州進出自体を断念するものではないと線を引いた。原発業界関係者は「欧州原発市場で受注競争できる企業は韓国水力原子力とウェスチングハウス、EDF程度で、韓国水力原子力が入札に参加するのを希望する国はまだ多い。市場状況などを考慮するといまは来月のチェコ原発最終契約に集中するのが良いという経営的判断とみられる」と説明した。
韓国水力原子力の受注放棄が技術的問題だった可能性も提起される。スロベニアが120万キロワット級を望んだが韓国水力原子力は100万キロワットと140万キロワット型を運用するからだ。中央大学エネルギーシステム工学部のチョン・ドンウク教授は「韓国水力原子力は100万キロワット型の認証を欧州で受けたが、120万キロワットを建設するには複雑な認証手続きを再び経なければならない可能性がある」と説明した。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が野心を持って推進した東海深海ガス田のボーリングが事実上頓挫したのに続き、「2030年までに原発10基を輸出する」として国政課題に掲げた原発輸出にも障害ができた格好だ。
ただ来月に予定されたチェコのドコバニ原発の最終契約は順調に進んでいる。慶熙(キョンヒ)大学原子力工学科のチョン・ボムジン教授は「チェコ原発受注は事実上韓国水力原子力が持つ経験と能力で実現した成果。韓国政府と与野党がエネルギー政策を政治的に利用しようとするのではなく実際に産業が成長できるよう支援するのに焦点を合わせなければならない」と強調した。
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