トランプ米大統領
先月25日のJ・D・バンス副大統領の「貴重な米軍を惜しむべきであり、すべてのところに送ってはいけない」という発言は示唆する点が多い。ピート・ヘグセス国防長官、マイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)などトランプ2期目の幹部は、在韓米軍縮小や防衛費分担金増額要求など韓国に向けた具体的な圧力計画を準備している可能性が高い。これは韓国には負担となる部分だ。また、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応した「拡大抑止戦略」の実効性低下につながり、懸念される。すべての力量を総動員した徹底的な対応が急がれる。
◆米国との造船協力、レバレッジに活用すべき
韓国は韓半島の外の海洋安保を米国主導の国際海洋秩序に全面的に依存してきた。2023年の韓国の貿易依存度は国内総生産(GDP)の88.9%を占める(韓銀資料)。石油とガスエネルギーは全量、食料の80%を輸入に頼っている。輸出入物流量の99.7%は海上交通路を利用する。海上交通路が生命線ということだ。この道がふさがれば一日に6520億ウォン(約682億円)、1カ月間に19兆5000億ウォンの損失が発生する。こうした状況が続けば我々は果たしてどれだけ持ちこたえられるだろうか。韓国石油公社によると、2023年末、韓国は海外備蓄分を含めて1億4600万バレルの石油を確保している。有事の際すぐに使用できる国内備蓄量は9700万バレルほどだ。一日の消費量は286万バレルであり、算術的に32日分の量だ。海上交通路が1カ月以上遮断されれば悪夢の状況に直面するしかない。
にもかかわらず、国家経済・安保と直結する海上輸送路を自ら守る戦略や対策が十分でないという点は深刻だ。
米国はその間、中国を牽制するためにさまざまな政策をとってきた。特に中国に比べて劣勢である海軍力の克服に向けた米国の動きは自国内の政治状況と関係なく続いている。中国が米国の230倍にのぼる船舶建造能力で艦艇を刷るように建造した結果だ。2024年の米議会報告書によると、米国は295隻の艦艇を保有するが、これは中国の380隻より85隻も少ない。2030年にはその差が140隻ほどに開く見込みだ。こうした劣勢を克服するため米国はすでに10年前から大量の安全装置を用意してきた。2014年の「アジアへの回帰(Pivot Asia Strategy)」でインド太平洋司令部を、2020年にはクアッド(米日印豪安保協議体)、2021年にはAUKUS(米英豪安保同盟)を創設したのが代表的な例だ。2023年にはキャンプデービッド協定で韓米日安保協力システムも備えた。
トランプ大統領は当選直後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と電話をし、米国の海軍力補強のために韓国造船所との協力が必要だと言及したのも同じだ。米国は2054年まで1兆750億ドル(約163兆円)を投資して390隻の艦艇を建造する計画だ。なら、トランプ政権と韓国政府の造船協力を韓米同盟の強化、韓国の海洋輸送路確保にレバレッジとして活用することが可能だ。
【韓半島平和ウォッチ】安保・経済生命線「海上輸送路守護」が足下の火=韓国(2)
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