サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長(左)とソフトバンクグループの孫正義会長(右)。
◇AIパズルをはめろ
サムスン電子の李在鎔会長とソフトバンクグループの孫正義会長、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)、アームのレネ・ハースCEOが4日、ソウルのサムスン電子社屋で会った。もともと李会長とサムスン半導体経営陣がアルトマンCEOと会うことにしていた。ところが孫会長がこの日午前に電撃訪韓し面談に合流する破格の動きを見せて座が大きくなった。ソフトバンク子会社であるアームのハースCEOも急きょ合流した。
この日午後2時40分ごろサムスン社屋に現れた孫会長は、記者らに「スターゲートに対するアップデート状況とサムスンとの潜在的協力について話し合うだろう」と対話の主題を明らかにした。2時間ほどの会合を終えて出てくると「スターゲート、モバイル、AI戦略について良い対話をした。われわれは議論を続ける」と強調した。
スターゲートは米国全域に5000億ドル(約76兆円)規模のAIインフラ・技術を構築するプロジェクトだ。トランプ大統領就任式翌日の先月21日、オープンAI、ソフトバンク、オラクルがホワイトハウスで共同発表した。オープンAIとソフトバンクが技術・投資を引き受け、オラクルのデータ・クラウド、エヌビディアのAIアクセラレータ、アームの半導体設計が西側AI陣営としてまとまることにした。
しかし半導体・ハードウエアの先端製造能力は米国もすぐには備えにくい上に、代表走者のインテルがぐらついている。スターゲートプロジェクトのチェアマンを務める孫会長が「なくしたパズル」を探すようにサムスンを電撃訪問した背景だ。孫会長は韓国のAI競争力に対し「立派なエンジニアと技術を持っている」と評した。
◇オープンAIは「市場性」、ソフトバンクは「リーダーシップ」が切実
この日会合が電撃的に実現した背景には各社の切実さも作用した。オープンAIは昨年50億ドルの赤字を記録したと推定されるが、中国ディープシークの急浮上でAI技術力だけでなく収益創出能力も立証しなければならないという圧迫を受けている。技術優位に向けた追加投資を確保し、企業用AIヒット商品を出さなければならない。アルトマンCEOは日本、韓国、インドなど各国を回って現地パートナー企業を多様に探している。アルトマンCEOはこの日午前、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長、SKハイニックスの郭魯正(クァク・ノジョン)社長らSK主要経営陣とも会った。半導体、データセンター、AIエージェント分野で協力を議論したという。また、カカオと戦略的提携を結んでカカオのサービスにオープンAI技術を適用し、今後AIサービスを共同開発するという計画も出した。
ソフトバンクは2014年のアリババ上場で大当たりしてから10年間、投資成果に浮沈があった。最近「AIで構図をひっくり返す」という抱負を明らかにした孫会長はスターゲート投資を主導しながらアームをAI半導体開発に向けた「秘蔵の武器」と考えている。低電力半導体の核心設計資産(IP)を保有するアームはAI用低電力半導体の具現技術でも脚光を浴びているが、孫会長がアームを通じて革新的なAI半導体開発を急いでいる。成功する場合、モバイルチップ設計の最強者であるクアルコムを代替できる。
◇サムスン、新しい突破口確保しなくては
サムスン電子は李健熙(イ・ゴンヒ)先代会長の「圧倒的メモリー半導体」を抜け出し、システム半導体とソフトウエアなどで「ニューサムスン」を見せなければならない状況だ。サムスンは先月、新作AIフォン「ギャラクシーS25」シリーズを出したが、スマートフォンの頭脳に当たるアプリケーションプロセッサ(AP)は全量クアルコムのチップを使った。前作よりAI演算能力が高まったと強調するが、他社の技術に相当部分頼っているもどかしい状況だ。現在サムスンモバイルの最大協力会社はクアルコムだが半導体設計でアームと協力を強化しシステム設計競争力を高める案も議論される。8年間にわたり李会長の司法リスクを経験し、サムスン電子は半導体、モバイル、家電など各事業部の権限を超えた投資や経営判断が適時にできないと指摘されてきた。今回の世界的AI協力が最初の突破口になるか注目される理由だ。
この記事を読んで…