魏聖洛「共に民主党」議員
――トランプ大統領の「ニュークリア・パワー」発言は北朝鮮を核保有国と認定したものか。
「『ニュークリア・ウェポン・ステート』と言ったなら深刻な問題だが、そうではないので過度に解釈する必要はない。『ニュークリア・パワー』は米国防総省なども以前に使った。ただ、だからと言って何でもないかのようにやり過ごすにはひっかかる部分がある」
――どういうことか。
「ひとつは『ニュークリア・パワー』は新しい表現ではないが、首脳レベルで話を取り出した点だ。もうひとつは北朝鮮の核能力と核兵器の現実を反映した単語が他の言及と混ざって多少軽く出てきた点だ。トランプ大統領は『私は金委員長と仲良く過ごした』『私も彼が(国際社会に)帰ってくることを願う』としながら北朝鮮の海岸コンドミニアム開発や投資協力もともに言及した。核問題を深刻に考えるよりは対話で解決していくことができる問題とみているのではないかと思われる」
――核凍結や軍縮などの「スモール・ディール」を予想したりもする。
「その可能性は常に開いている。現在の第2次トランプ政権のラインナップを見れば第1次トランプ政権で対北朝鮮特別副代表だったアレックス・ウォン氏を国家安全保障副補佐官に任命した。やはり第1次政権でスティーブ・ビーガン対北朝鮮政策特別代表の下で実務を担当した韓国系のケビン・キム氏を国務副次官補(東アジア太平洋担当)に抜てきした。いつだと正確に予想するのは難しいが、流れが交渉の側にあるというのは明らかに見える。両国間で接触が始まる可能性がある。そのため彼らがどんな目標に向かって進むのか韓国も神経を尖らせなければならない」
――北朝鮮は現状をどのようにみているだろうか。
「自分たちの立場が2018年より良くなったと考えるだろう。核ミサイル能力は高度化され、ウクライナ派兵でロシアとの同盟関係が作られたのも重要な違いだ。北朝鮮は韓半島有事時にロシアに助けを求められるようになったと考えるだろう。金正恩委員長は自分たちの立場が以前より高くなったと鼓舞された状態で核交渉に臨むため韓国に良い状況ではない」
――一部では「コリア・パッシング」を懸念する。
「朝米対話が進めば北朝鮮は相当期間韓国と対話しないだろう。韓国に空間を渡さないようにできる。コリア・パッシングとまで表現したくはないが、両国の議論の場に韓国が参加できない可能性が大きい。こうした状況で重要なことは、米国を通じて交渉内容を速やかに把握し、韓国側の意思を反映することだ。韓米間の調整と共助が極めて重要だ。ただ、トランプ政権を相手にするのはバイデン政権の時よりも容易ではないと考える。付け加えるならば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権で中国とロシアとの関係が大きく悪化したのも韓国の立場や交渉力をさらに難しくさせた」
――与党では北朝鮮の核保有認定という前提の下で独自核武装論が出ている。
「生半可な考えだ。それなら北朝鮮の核を容認するだけでなく、中国、日本、ロシアをはじめとする全世界と核問題で論議を起こすことになる。一部ではトランプ政権が容易に核開発を容認するかのように期待するが、そうではないと考える。たとえ韓国が核開発を容認され、北朝鮮の核を抑止する能力を持つようになっても、米国の核拡大抑止は消えることになる。米国の拡大抑止は北朝鮮だけでなく、中国、ロシアなど外部から韓国に加えられる核脅威から保護することだ。しかし独自に核開発をすればこれらを韓国の力だけで相手にしなければならないという難題が置かれる。また、各種経済制裁と直面することになるはずで、韓国のように貿易依存度が高い国としては耐えがたい。ところがいま与党で核武装を主張する人が1人や2人ではない。非常に懸念される」
――米国の戦術核再配備はどうだろうか
「戦術核配備は別の問題だ。米国が選択するならば可能なオプションだ。米国共和党内に肯定的な人物も一部いる。だが私は否定的だ。米中・米ロ対立が今後さらに尖鋭化しかねないのに、韓国に戦術核が入ってくれば中国とロシアは北朝鮮の核を容認する側に積極的に出る可能性が大きい。中国とロシアはまだ韓半島非核化を好むが、これを変えることになる。ただ韓国の独自核武装論を静めるために戦術核再配備カードを使うならば討論してみることはできる」。
韓国与野党の外交安保通、核保有をどのように見るか(1)
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