金健「国民の力」議員
◇金健「国民の力」議員
――トランプ米大統領の核保有国発言で議論になった。
「いま若干の誤解がある。国際社会で核保有国という表現は『ニュークリア・ウェポン・ステート』を使う。ところが米国防総省は北朝鮮の核兵器を想定して国防政策を展開しなければならない。そこで作られた表現が『ニュークリア・パワー』だ。したがってトランプ大統領の発言が北朝鮮の核保有を認めるという意味ではない」
――トランプ大統領が金正恩委員長とまた会うという観測が出ている。
「当然推進するだろう。不動産開発業者だったトランプ大統領は北朝鮮に投資価値があるとみているようだ。北朝鮮が地政学的・地経学的な立地上、核を断念し米国と組めば繁栄できるというのが彼の考えだ。2018年には失敗したが、再度試みる可能性が大きい。米国は北朝鮮に経済支援や制裁解除をしようが結局非核化を要求するもので、北朝鮮は体制安全を保証される側で交渉が進められるだろう。ただ、北朝鮮が核保有を認められる可能性はないとみる。交渉の枠組みはそんな簡単に変わりはしない」
――非核化ではなくても核凍結と軍縮程度の「スモール・ディール」の可能性も議論される。
「容易ではない。核拡散防止条約(NPT)体制が崩壊することを意味するためだ。NPTを作る時に米国、ロシア、中国、英国、フランスの5カ国だけ核兵器を許容した。現在核保有国であるインド、パキスタン、イスラエルは加入しておらず、北朝鮮はNPT加盟国として原子力技術の移転を受けた後に核兵器を開発して脱退した例だ。したがって北朝鮮の核保有を認めることになれば他の国もこのルートに従うことになる恐れがある。また、NPT体制が崩壊すれば周辺に脅威を感じる国が核兵器を持つ名分が作られ、手の付けられない状況に突き進むことになりかねない。これは米国社会が容認できる水準ではない。付け足せば、第1次トランプ政権当時に北朝鮮と交渉した際、シンガポールで完全な非核化に合意しており、ハノイで完全な非核化に向けた措置を交渉したがこじれた。いまになってそれに満たない結果を得て米国国民が説得されるだろうか」
――両国が交渉過程で韓国をパッシングするだろうという懸念もある。
「そうした可能性はほとんどないと考える。いまトランプ大統領は同盟国が多くの負担を背負うことを望んでいるのではないか。北朝鮮と取引をしてもその負担は韓国に多く負わせようとするだろう。そのため韓国をパッシングするのは難しい」
――与党から出る独自核開発や戦術核再配備はどのように考えるか。
「戦術核再配備は思ったほど軍事的効用性は高くない。すでに米国の拡大抑止力が北朝鮮の核脅威に有効に対抗している。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を見よう。米軍の潜水艦が釜山(プサン)に寄港して北朝鮮に威力示威をする時があったが、事実核兵器をグアムに配備しようが韓国に配備しようが北朝鮮から遠くない地域で核を発射する手段を持ったのだ。また、戦術核を再配備するには韓国が大きな費用を出さなければならない。独自核武装論は現実性がさらに低い。NPT体制が維持される限り韓国は追求できない代案だ。2つとも良いオプションではない」
――バイデン政権で採択した「ワシントン宣言」は韓国に対する核脅威拡大抑止提供を拡張するようにした。トランプ政権もこれを維持するだろうか。
「韓国でも米国でも新政権が発足すれば前政権の政策と合意を全般的に見直す。いまはそうした段階でひとまず見守らなければならない。だとしてもホワイトハウスが北朝鮮との接触に先立ち『北朝鮮の完全な非核化』を宣言したことは意味がある」
――在韓米軍撤収を口実に防衛費を大幅に引き上げるという懸念と見通しがある。
「そのような可能性はある。第1次トランプ政権でも50億ドルを出せと言い交渉の末に大幅に引き上げた。しかし韓国が50億ドルをすべて出したのではない。トランプ大統領は相手が当惑する提案を出し、これを通じて有利な結果を引き出したりする。今回もすでに100億ドルを要求するという話が出ているが、韓国は心配しない姿を見せることが望ましい交渉戦略だ」。
韓国与野党の外交安保通、核保有をどのように見るか(2)
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