トランプ米大統領がメキシコとカナダを狙って予告した「関税爆弾」の現実化で米国の自動車業界がパニック状態になった。

トランプ大統領は就任初日の２０日、メキシコとカナダに対する２５％の関税を２月１日から賦課する計画だと明らかにした。

トランプ大統領は関税賦課を通じて自動車メーカーが生産基地を米国に移転してより多くの雇用を作ると期待する。しかし車が組み立てられるわずか数時間前に部品が国境を超えて供給されているのが現実だ。


迅速に米国内に供給網が集約され雇用が具体的に増加するのを期待するのは難しいという話だ。

◇「トランプ大統領の意図と違い米国の雇用減少も」

ニューヨーク・タイムズは２１日に解説記事を通じてトランプ大統領の２５％の関税賦課方針は現在の供給網により当初期待した効果を出すことができない可能性があると指摘した。

また、カナダやメキシコ製の車両部品に対する関税のため米国内代理店での車両価格が上昇し自動車需要も減少する恐れがあると診断した。このようになれば米国内の自動車メーカーが販売不振を挽回するために従業員を削減する可能性も提起した。結局関税はトランプ大統領が約束した通りに米国内の自動車業界労働者保護ではなく雇用減少につながりかねないということだ。

北米の自動車産業はカナダ、メキシコとの自由貿易協定を土台にこの３０年間成長した超国家的な産業だったと評価される。

コンサルティング会社アリックスパートナーズによると、カナダとメキシコから米国に年間１５００億ドル相当の自動車が輸入される。

こうした状況で課される関税は米国とカナダ、メキシコで生産・販売されるすべての車に影響を及ぼす見通しだ。

◇高率関税予告…フォード・ＧＭなど不安

米自動車メーカーのゼネラルモーターズ（ＧＭ）とフォードはカナダとメキシコで相当数の自動車と部品を生産する。ＧＭは米国内向けピックアップトラックの２５％をメキシコで、１５％をカナダで生産する。フォードはメキシコとカナダでピックアップトラックの約１２％を生産し、電気自動車のマスタング・マッハＥをメキシコで作る。

こうした企業にはトランプ大統領の高率関税予告が懸念にならざるをえない。

すでに第１次トランプ政権とバイデン政権当時に自動車メーカーは中国製部品に対する関税で打撃を受けている。

◇ＮＹＴ、現地化急いだ現代自動車に注目

ニューヨーク・タイムズはメキシコ、カナダの関税と関連し、条件に差別性がある現代自動車に注目した。現代自動車は米ジョージア州サバンナに７６億ドルを投じて工場団地を建設し、米国政策の変化から会社を保護するための準備をしたということだ。

現代自動車のホセ・ムニョス代表理事社長は最近のインタビューで、こうした決定が第１次トランプ政権当時に下されたものであり、米国内の現代自動車工場が多くの生産材料と部品を米国内で調達していると明らかにした。

ムニョス社長は「どんな問題であれそれを回避するための最善の解決策は投資を現地化すること」と話した。