ドナルド・トランプ第２期政府が２０日（現地時間）にスタートし、韓国外交の座標を設定するために核心要素である米中戦略競争構図の行方に関心が傾いている。全方向的な外交に乗り出した日本と違い、首脳外交空白状態の韓国は「米国を再び偉大に（ＭＡＧＡ）」を叫ぶトランプ大統領と「中国の夢」を叫ぶ中国の習近平国家主席の間の腹の探り合いを息を殺して見守っている。

ウォール・ストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）は１８日（現地時間）、事案をよく知る消息筋を引用して「トランプ氏が就任後１００日以内に中国を訪問したいという意思を示した」と報じた。１７日の電話会談に続き、近く対面の会談を持つという意欲を示したものだ。トランプ大統領は１９日には中国系動画共有プラットフォーム「ティックトック（ＴｉｋＴｏｋ）」の米国内サービスが中断されたことについて、就任以降「ティックトック禁止法」の施行を猶予するとも明らかにした。

中国もトランプ大統領を優遇した。トランプ大統領が慣例を破って習主席を就任式に招待すると、中国は党政権力序列８位の韓正国家副主席を特使として代わりに派遣した。一時的かもしれないが、両国の間に宥和ジェスチャーがやりとりされた格好だ。


米中が「嵐前夜」のような時期を経る中で動きの早い日本は順に中国・米国と接触して高官外交を全力稼動している。これに先立ち先月２５日、岩屋毅外相は中国を訪れて王毅中国政治局委員兼外交部長と会談して今年の早い時期に王部長の訪日を推進することで合意した。

岩屋外相は２０日のトランプ大統領就任式にも出席する。翌２１日には、まもなく承認手続きを終えるマルコ・ルビオ次期国務長官と会談し、日米豪印戦略対話（ＱＵＡＤ＝クアッド）外相会議にも出席する計画だ。日本メディアによると、米日首脳会談も来月初～中旬に開かれる可能性が高い。１９日、石破茂首相はトランプ大統領と首脳会談の日程を調整中だと明らかにした。

反面、日本と安保側面での利害関係が相当部分で重なる韓国の場合、米国と中国の間で効果的な対応が難しい政治的混乱に直面したという指摘が出ている。韓国の首脳外交が見えない状況で、日本に一種の「善意のメッセンジャー」役を期待するか、韓米日協力をテコに韓国の外交的立ち位置を守ろうとする努力が必要だという意見もある。ただし、ここにも限界があるという指摘だ。

これに関連し、慶南（キョンナム）大学極東問題研究所のイ・ビョンチョル教授は「韓国の首脳外交が見えなくなっている中で、日本がトランプ第２期政府と強く密着するなら、米日同盟と韓米同盟の層上そのものが変わりかねない」と指摘した。

これまで韓国の国内情勢に関連して何の言及もしなかったトランプ大統領が非公開で韓国の国内情勢を意識した鋭い冗談を言ったという報道もあった。米国ＣＢＳ放送は１８日、トランプ氏が「皆は私を見てカオスだというが、韓国を見るがいい」と話したと伝えた。ある前職外交部高位当局者は「米国と中国、どこも過渡期政府に本音を見せて対応しようとはしない」と指摘した。ただし韓国政府は趙兌烈（チョ・テヨル）外交部長官が早期に訪米し、韓米外交長官会談などを推進して首脳外交の空白を埋める考えだ。

韓国の駐中大使交代が取りやめになり、対中外交の前哨基地が正常に稼働しているのかという疑問も出ている。昨年１０月駐中大使に内定していた金大棋（キム・デギ）元大統領秘書室長の任命は弾劾政局で白紙化した。弾劾審判手続きが進行中の尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領が抜てきした大使内定者に権限代行が信任状を授けるのは不適切だという見解からだ。鄭在浩（チョン・ジェホ）現駐中大使は先月初めに予定されていた離任式を中止して席を守っているが、事実上、最小限の外交活動しか行っていないという。