国土交通部が昨年まとめた２０２３年の航空白書を見ると、航空会社の常時安全監督回数は２０２２年の２０６４件から２０２３年には３１３３件と５１％増加した。昨年はコロナ禍後に航空需要が急激に回復し航空安全監督官の点検回数が増えたというのが専門家らの分析だ。その間に航空安全監督官数は２０２２年の２８人から２０２４年には３０人と２人の増加にとどまった。

米カリフォルニア州立大学アーバイン校経済学科のヤン・ブルックナー客員教授は「米国のすべての航空会社は政府主導の下に厳格な整備要件を順守している。これは安全な飛行を保障するのに重要な役割をする」と強調した。続けて「今回の事故を通じて韓国政府は航空会社に対する安全監督をさらに強化しなければならないだろう」と話した。

◇統合ＬＣＣ発足で業界に大変化


大韓航空とアシアナ航空の合併で誕生する統合ＬＣＣの発足も韓国のＬＣＣ業界では大きな変化のひとつだ。統合ジンエアーは発足と同時に航空機５８機を保有する韓国最大のＬＣＣとなる。４１機で２位のチェジュ航空とも格差が大きくなる。三逸ＰｗＣが最近まとめた報告書「大韓航空とアシアナ航空統合にともなう航空業の影響」によると、統合ジンエアーは市場でシェア４１％の１位となり、大型化にともなう規模の経済の効果を得られると予想される。

航空機の規模だけでなく売り上げ規模でも韓国の他のＬＣＣを大きく上回る。統合ジンエアーの場合、昨年基準で売り上げが２兆４６９５億ウォンでチェジュ航空の１兆７２４０億ウォンより７０００億ウォン以上多い。統合ジンエアーは各社が保有する航空機の近代化作業と重複路線整理などを通じて当面は収益性を最優先で運営するものとみられる。続けて大型航空機を通じた海外長距離路線開発にも積極的に出る予定だ。

◇第２のアシアナ夢見る「大明ソノグループ」

今年韓国のＬＣＣ業界で注目されるのは大明（テミョン）ソノグループだ。大明ソノグループは昨年総額２３００億ウォンを投資し、エアプレミア（１１％）とティーウェイ航空（２６．７７％）の２番目の大株主の地位を確保した。航空業界では大明ソノグループがその気になればいつでもエアプレミアとティーウェイ航空の筆頭株主になるのは可能だとみている。

大明ソノグループはなぜＬＣＣを狙っているのか。航空業界では大明ソノグループのソ・ジュンヒョク会長がホテルリゾート産業と航空産業間のシナジーを狙うと分析する。

大明ソノグループは韓国だけで１８のホテルとリゾートを運営している。海外でも５カ所でホテルを運営中だ。

大明ソノグループで航空業進出を主導的に担当している役員は、航空業進出という事実が明確になっただけに当分は急がないと話した。

同役員は「内部では規模が小さいエアプレミアを先に買収する可能性を高くみており、その後経営が安定すればティーウェイ航空の買収も検討できないだろうかと考える」と話した。

ブルックナー教授は、大きな変化が予想される韓国のＬＣＣ環境に対し期待と懸念の声を伝えた。まず今回のチェジュ航空事故と関連し、失われた消費者の信頼を取り戻さなくてはならない点を最優先課題に挙げた。安全に対する投資を惜しむなという助言も出てきた。このほか韓国のＬＣＣ業界がさらに成長するためには本格的な買収合併を通じた規模の経済を実現してこそ産業が安定的に成長できると診断した。


整備人材確保に困難…再整備急がれる韓国ＬＣＣ９社の体制（１）