トランプ次期米大統領が２０日の就任直後に米国の通商法に基づき韓国をはじめとするすべての国に１５％の普遍関税を課す可能性が大きいという観測が出てきた。トランプ氏は関税賦課対象国を効果的に圧迫すると同時に野党の反対をなだめるために米通商法１２２条を関税賦課の根拠に活用する方案まで検討したとわかった。

外交消息筋は１９日、中央日報に「トランプ氏が緊急措置などを通じて独断的に普遍関税を課すことができるが、政策の正当性と効率性に対し悩んだものと理解する。結局関税を合法的に課すと同時に交渉の武器とするというトランプ氏の戦略と合致する部分が多い通商法１２２条を根拠にする方針を立てたとみられる」と伝えた。

通商法１２２条は「対米貿易収支黒字が大きく深刻な国または多数の国に対し最大１５０日間１５％の関税を賦課できる」という内容が含まれている。１５％の関税は最大で追加できる税率で、賦課期間１５０日は議会の同意を得れば延長できる。


また別の消息筋は「法に明示された５カ月という一時的関税賦課期間は表面的にはトランプ氏に負担要因かもしれないが、反対に成果を速やかに出すことができるガイドラインになり得る。関税賦課の可否が５カ月ごとに更新される点は対象国が関税延長を避けるためにトランプ氏の要求を受け入れるのかどうかを決めるよう強制する事実上のデッドラインになるだろう」と予想する。

現在米議会は共和党が上下院両方で過半数の議席を確保した。もしトランプ氏が議会に関税賦課期間期間延長を要請しても党内から反対票が出る可能性は小さい。このためトランプ氏が通商法を関税賦課の根拠に活用する場合、彼は合法的に５カ月ごとに相手国を圧迫できるようになる。

２０２３年基準で最大の対米貿易黒字国は２７８７億ドルの中国だ。メキシコが１６１４億ドル、ベトナムが１０４６億ドル、ドイツが８２３億ドル、日本が７２３億ドル、カナダが７１９億ドルなどと続いている。このうちトランプ氏は中国には６０％、メキシコとカナダには２５％の関税を払わせると公言した状態だ。韓国の対米貿易黒字は５１０億ドルで８位に当たる。トランプ氏は在韓米軍に対する防衛費分担金と関連し韓国を「マネーマシン」と呼び、バイデン政権と結んだ規模の９倍に相当する分担金に言及したりもした。

韓国経済に直撃弾になりかねない普遍関税政策はトランプ氏の就任とほぼ同時に発表される可能性がある。トランプ氏はこの日ワシントンでの演説で「バイデン政権の急進的で愚かな大統領令は就任宣誓から数時間で廃止されるだろう」としながら速度戦を強調した。ただ「『だれかが』１日ですべてやらないでくれと言うので数週間かけてやることにした」とし、分野別に順次カードを切る計画であることを示唆した。

外交消息筋は「トランプ氏が就任初日に国境とエネルギーに対する非常事態宣言に続き、貿易赤字に対しても国家非常事態を宣言して中国に実際に６０％の追加関税を課す案が報告書で指摘されたものと把握された。トランプ氏が公言してきた１０～２０％の普遍関税は事実上決まった手順になったとみてこれに対する現実的対応策を用意しなければならない状況」と話した。